現場の熱中症対策も
旭川市は、温暖化による災害リスクを軽減するための気候変動適応計画案を作成した。大規模な水害時の流出土砂処理についての指針を新たに策定するほか、忠別川浄水場の非常用発電設備設置、内水氾濫に備えた雨水排水施設の整備推進などを盛り込んだ。気温の上昇に備えて市発注工事に従事する建設作業員の熱中症対策も検討していく。
地球温暖化に伴う近年の気温上昇、ゲリラ豪雨の増加といった気候変動により、洪水など災害や農林水産品の品質低下リスクが高まっている。環境省は温室効果ガスの排出を抑制する緩和策に加えて、実際に発生し得る産業や社会資本への被害を軽減する適応計画の策定を地方公共団体に呼び掛けている。
道内では道が2020年3月に適応計画を策定。札幌、石狩、北広島、稚内市も策定済みで、旭川市も21年度末までに策定する方向で計画案をまとめた。
長期的には旭川市でも温暖化の傾向が続き、21世紀末で年平均気温が約5・5度上昇する恐れがある。2年に1度は大雨が発生するなど降雨量も増大し、基幹産業である農林産業や都市インフラの被害リスクも高まると予想している。
旭川市の計画には従来から取り組んでいる農業基盤の強化、ハザードマップの作製・周知、病害虫予防といった施策のほか、新規の事業として洪水など大規模な水害で発生する流出土砂の処理に関する指針の策定を行う。迅速な災害復旧につなげる考えだ。
内水氾濫を防ぐための排水機能向上と雨水排水施設整備にも取り組む。大規模造成された宅地は安全性を把握するための調査を進める。
停電時も安定した水道供給ができるよう忠別川浄水場には非常用自家発電設備を導入。気温上昇に伴い熱中症の増加も予測されるため、市の発注工事で建設作業員の暑熱対策を研究していく方針だ。
(北海道建設新聞2021年12月9日付1面より)