21年度補正との合算は6.2%減
国土交通省北海道局は24日、2022年度予算案の北海道開発予算を公表した。一般公共事業費に当たる北海道開発事業費は、国費ベースで5588億6800万円。これはデジタル庁への一括計上分を除いた額で、同じ条件にするため組み替えた前年度当初額と比較すると0.1%の微増。前年度当初並みの予算確保にこぎ着けている。一方、21年度補正予算と22年度当初の合算額は、20年度第3次補正を含む前年度予算額と比べ6.2%減の7129億2500万円だった。
22年度北海道開発予算全体では、5702億円と0.1%の伸び。
道局は重点事項に①強靱で持続可能な国土の形成②食と観光を担う生産空間の維持・発展③「民族共生象徴空間(ウポポイ)」などを通じたアイヌ文化の復興・創造および国民理解の促進―の3点を挙げた。
①については、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を強力に推進。流域治水の本格的展開、インフラ老朽化対策、災害時の人流・物流を確保する交通ネットワーク整備に取り組む。
併せて、ゼロカーボン北海道などグリーン社会の実現に向けた施策を実施。2050年カーボンニュートラル、グリーン社会実現のため、環境負荷の少ない交通・物流基盤の構築などを進める。
9月1日にデジタル庁が発足したことを受け、これまで開発予算に含まれていたサーバー、システムの維持管理費などが同庁一括計上分として差し引かれる形になった。その上で22年度当初予算を見ると、前年度当初比で0.1%の微増となる。
22年度当初と21年度補正の合算額を、21年度当初と20年度第3次補正の合算額と比較すると6.2%減。20年度第3次補正で防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の初年度分が大規模措置された反動が、そのまま表出した。
当初と補正の合算額同士の比較で各部門を見ると、道路整備と道路環境整備を合わせた道路系は6.2%減。だが21年度当初比では42億5200万円の増額を示していて、道路環境整備に含まれる無電柱化の推進、通学路の安全確保補助などの展開が見込まれる。併せて、引き続き防災震災対策や高規格道路のミッシングリンク解消を推進。国道5号創成川通(都心アクセス道路)をはじめ各事業を促進する。
治水は9.7%減だが、21年度当初からは0.5%増。流域治水プロジェクトなどを通して、雨量増加による河川氾濫への対応力強化をハード・ソフト両面から進める。26年度に完成させる岩見沢市の北村遊水地は、周囲堤などを継続する。
直轄ダムは、幾春別川総合開発の新桂沢ダム、三笠ぽんべつダムで本体整備を推進し、洪水被害の軽減を図る。雨竜川ダム再生事業では、地質調査や概略設計に取り組む。
農業農村整備では減少幅を1.6%に抑制。当初同士の比較では0.5%増を確保している。各事業では施設の老朽化対策に加え、多量の降雨に対応可能な規模への再整備を進める。水産基盤整備は3.3%増。増額の要因は衛生管理型岸壁の整備など。水産品の競争力強化のため、屋根付き岸壁の整備を進める。また、フレア式岸壁を整備して高波被害軽減を図る。
港湾は14.5%減で、21年度当初比では0.7%増。高潮・高波・暴風対策などによる海上輸送ネットワークの強靱化、大型クルーズ船の受け入れ環境整備などを推し進める。空港は3.4%減と落ち込むが、財政投融資などの財源を加えた特別会計で見ると、21年度当初比4割増。新千歳空港でのデアイシングエプロン整備、誘導路複線化などによる航空機の欠航・遅延回避を目指す。
道や市町村向けの交付金を見ると、社会資本整備総合交付金は9.1%、防災・安全交付金は16.1%の減少。特に防災・安全交付金は、各部門への個別補助事業に移行したことによる減となっている。
公共工事の施工時期平準化の取り組みを強化する当初予算ゼロ国債は、約323億円の枠を設定。道路に約239億円、河川に約69億円、治山に約6000万円、都市水環境整備に約3000万円、農業農村整備に約1億1000万円、水産基盤整備に約13億円を配分している。