室蘭開建は、樽前山火山砂防で熊の沢川1号堰堤の初弾となる鋼製セル4基を月内にも公告する。施工中の2号堰堤の500m下流に、直径30m程度の鋼製セル9基による堤長277mの堰堤を新設する計画。初弾で右岸側の袖部2基と水通し部2基を発注する見通しだ。2021年度補正予算のうち現年補正で7億6400万円を措置した。
活火山・樽前山(標高1041m)の噴火で想定する融雪型火山泥流と降雨型火山泥流(2次泥流)の被害防止に向けて苫小牧市内の覚生川、錦多峰川などの各渓流に堰堤や遊砂地といった砂防施設建設を進めている。
特に覚生川水系は、中噴火時にも火砕流や泥流が発生し、他の渓流と比べ急峻(きゅうしゅん)で火砕流が流下しやすい地形となっていることから、砂防施設を集中整備している。覚生川の支流に当たる熊の沢川には堰堤3基の新設を計画。先行して上流に2号堰堤(堤長244m)、3号堰堤(241m)を施工中だ。
鋼製セルは巨大な円柱形の構造物で、内部に土砂を入れ、天端にコンクリートを打設してふたをする。熊の沢川1号堰堤では両岸の袖部に置く4基が直径31.7m、中央の水通し部5基が直径29.8mで計画。水通し部は高さ14.5mとなる。
事業全体で3214万m³の融雪型火山泥流対策を計画。熊の沢川1号堰堤が完成すると、810万m³の融雪型火山泥流対策が整う。
(北海道建設新聞2022年1月13日付9面より)