市場価格高騰などが背景に
旭川市は、近文清掃工場と最終処分場の整備方針を変更した要因について評価・検証結果をまとめた。建設費が基本構想策定当初の見積もりから2割程度増額したことについて、建設市場価格の高騰が背景にあったほか、最安値の見積もりを基準としたことにも問題があったと分析した。
近文町12丁目1128の1にある清掃工場は従来、破砕・選別処理施設を増設した上で現地建て替えを計画していた。江丹別町芳野71にある最終処分場も2030年3月で埋め立て期間が終わるため、16万m³の容量で新設を検討し、19年度には基本構想を策定した。
しかし、建設費の高騰やスケジュールに遅れが生じたため構想を撤回し、新たな施設整備方針を21年7月に策定。清掃工場を改修して再延命化を図ることとしたが、破砕処理によるごみの削減が望めなくなったため最終処分場は容量を4倍の64万m³まで拡大する必要が生じた。
市がまとめた計画見直しに至った要因と経緯の報告によると、基本構想では清掃工場整備に税抜き266億円、最終処分場整備に50億円の合計316億円を試算。20年度に再度見積もった際には清掃工場が47億円、最終処分場が13億円それぞれ増加し、総額376億円で19%建設費がかさんだ。
大幅な上昇につながった要因は建設市場価格の高騰に加え、複数社のプラントメーカーから徴集した見積もりの最安値を構想に反映させたことや、最終処分場は他都市の過去10年間の建設費を参考にするなどやや古かったことなどが挙がる。見積もりを平均値にした場合でも347億円と1割弱の増で、建設費が高騰していることがうかがえる。
清掃工場整備基本計画の着手と完成が2年遅延していて、最終処分場の工期と重複する見通しだ。余剰熱を利用した発電に関して構想を一時的に見直す必要が生じたことから、策定作業が遅れたとしている。