帯広開建 売電収入を維持管理費へ充当
帯広開建は2024年度にも美生ダムで小水力発電施設の新設に着工する。国営かん排芽室川西地区で、最大出力720㌔㍗、年間可能発電電力量4636メガ㍗時を想定。売電収入を維持管理費に充当する。北海道電力との協議や水利権に関する調査などを経て、着工する予定だ。
同ダムは芽室町上美生を流れる美生川で、1999年に完成した重力式コンクリートフィル複合ダム。堤高47・2m、堤頂長350m、総貯水容量940万m³。パイプラインで畑地に用水を送っている。
ダム管理者である芽室町が維持管理費の負担軽減を図るため小水力発電による売電を検討していたが、開建が17年度に事業化した芽室川西地区で取り組むことにした。
発電施設はダム直下に整備し、かんがい用水の最大出量と同じ毎秒最大4・5m³の流量を受け入れる計画。最大有効落差は33・3mとなる。水車の規模や数量は検討中。三祐コンサルタンツに依頼して18日までに終える実施設計で固める。
北電との調整や水利権に関する河川協議、整備予定地の国有保安林解除が必要のため、着工までに2年程度を要する見込み。2、3年に分けて施工し、併せて国の費用負担で北電がダムから変電所までの系統連系をする。1カ月程度の有水試験を経て供用する。
年間維持管理費に約3000万円を計上している町は「町の負担がかなり軽減される」と期待。芽室川西地区の整備により新たに帯広市も受水するため、施設管理方法や受益地域間の費用負担割合について協議している。
国営による農業用ダムの小水力発電施設は、室蘭開建が17年度に道内初となる厚真ダム(厚真)に着工。22年度には札幌開建が青山ダム(当別)での整備を目指している。道営は18年度から整備を進めている緑ダム(清里)のみとなっている。