留萌の現場でCO₂排出削減実証実験 荏原実業など

2022年03月03日 10時00分

グループ企業の荏原実業パワーと

 荏原実業(本社・東京)とグループ企業の荏原実業パワー(同・千葉)は、2021年11月から留萌市内の建設現場で太陽光発電と蓄電池による二酸化炭素排出削減の実証実験に取り組んでいる。道内初の試み。蓄電池の設置により、自然エネルギー由来特有の気象に左右される課題を低減し、安定した電力供給を実現させる。風雪の厳しい環境下でも機能することを確認し、建設業の脱炭素化を推進する役割に期待が掛かる。

事務所前に設置している太陽光パネル

 実験は留萌開建が発注し石垣(本社・東京)が請け負う、留萌川維持の内東雲排水機場1号ポンプ電動化ほかの現場で実施している。期間は21年11月5日から22年3月25日までを予定する。

 かねて太陽光発電に取り組んできた荏原実業。近年進む脱炭素化の動きから蓄電池の供給が高まるとみて、始動していたプロジェクトチームを分社化し21年1月に荏原実業パワーを立ち上げた。

 荏原実業の遠藤隆興札幌事務所長は「日照時間が短く、冬は暴風雪が吹き荒れる厳しい条件だからこそ」と留萌市を実験の場に選んだ理由を話す。

遠隔制御などが可能なハイブリッド蓄電池EJ1―58

 太陽光パネルは、現場事務所前にサンテックパワージャパン社の製品を設置。事務所2階に、荏原実業パワー社のハイブリッド蓄電池「EJ1―58」1基を据えていて、どちらもカナモトの協力を得て設置した。

 蓄電池の蓄電容量は5.8kW。発電と蓄電、充電、放電量をパソコンやスマートフォンなどの電子機器で遠隔監視、確認できる特長を備える。停電時でも単相200Vの出力が可能だ。逆潮流の制御ができるため電力会社への届け出も不要。蓄電残量が少ないときは自動的に電力会社から電気が供給されるため、電源が遮断する事態も防ぐことができる。
 太陽光パネルの設置枚数は変更可能で、蓄電池の容量を増やしたい場合はバッテリーを2基増設することができ、利用者の要望に添って使える仕様とした。

 荏原実業の報告によれば発電量は21年11月5―30日で7.3kW、12月1―16日で44.9kW、累計で57.1kgの二酸化炭素削減につながったとしている。太陽光パネルの架台にコンクリートブロック(1t)を3台固定しているため、暴風雪警報時に記録した風速毎秒28mにも耐えた。

 荏原実業パワー営業部の小笠原雅美主任は、「現場事務所に蓄電池を設置するのはなかなか普及していなかったが、導入することで脱炭素化やSDGsの取り組み推進につながると考えてもらえれば」と話している。


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