札幌市、秋にも結論
札幌市は2日、3地域への延伸を検討している路面電車について、各地域1ルートずつ抽出しケーススタディーをした結果、開業時から単年度赤字が継続するとの見込みを示した。残る6ルートの需要予測・収支採算性を検討し、秋にも延伸検討の一定の結論を出す予定だ。また、2024―25年度に創成イースト北エリアを検討対象地域に、水素燃料車両の実証など社会実験を想定している。
同日の市議会総務委員会で、路面電車の延伸検討状況について柳沼孝弘公共交通担当部長が報告した。
市は都心、創成川以東、桑園の3地域への延伸を検討。都心3ルート、都心+創成川以東3ルート、桑園3ルートを対象ルートとしている。
対象ルートの主な課題として、レール敷設による、まちづくりや自動車交通、経済活動への影響が大きいことを指摘した。
収支採算性では3地域のルートのうち、レール敷設による影響が比較的少ないルートを1つずつ抽出し、ケーススタディーした結果、3ルートとも開業より単年度赤字が継続。30年後には30億―70億円の累積欠損金を抱える見通しで、レールや架線などのランニングコストが高く、事業経営への影響が大きいとした。
今後は、残る6ルートの収支採算性を検討し、22年第3回定例市議会総務委員会で、延伸検討の結論を報告する予定だ。
並行して、課題解決の可能性を探るため、新技術を含め幅広く検討する。
検討に当たり、新たな公共交通システムの有用性を図るため、都心部でのAIを活用したデマンド交通システムの需要把握や、積雪寒冷地での水素燃料車両など環境に配慮した車両の実証運行の社会実験を想定。24―25年度の実施に向け、23年度に計画・準備を進める考えだ。