旧青少年科学館と旧旭農場産業組合棟煉瓦倉庫
旭川の歴史的建物の保存を考える会(会長・軽部望N工作舎社長)は、第25回建築賞として「旧旭川青少年科学館」と「旧旭農場産業組合棟煉瓦(れんが)倉庫」の2件を選定した。青少年科学館は旭川におけるモダニズム公共建築の典型として、れんが倉庫は美瑛町の農業の営みや歴史を象徴していると評した。4月の総会で建物所有者に表彰状を贈る。
旭川や道北地方の歴史的建築物の価値を発信するために創設した賞。会長ら10人の選考委員が現地で物件を視察した上で決めた。
旧青少年科学館
旧青少年科学館は旭川市常磐公園内にあり、現状は市の文学資料館として活用されている。RC造、地下1地上4階、延べ2778m²の建物で、1963年に建設された。
鉄筋コンクリートの構造体にピロティ、自由で斬新な内部空間といった近代建築の特徴を備えつつ、れんがの外装や河原から調達した自然石の腰壁など旭川固有の要素を取り入れた。設計を担当したのは市の建築職員だった佐藤瑛氏で、モダニズム建築家である佐藤武夫氏が手掛けた市総合庁舎の意匠を市の公共建築に反映させた模範的作品としても評価した。
旧旭農場産業組合棟煉瓦倉庫
美瑛町旭にある旧旭農場産業組合のれんが倉庫は、木骨れんが造、平屋、延べ496m²の建物で34年に建設された。切妻屋根の主屋と側面に張り付く片流れ屋根の下屋で構成されていて、大量のもみが集荷ができるよう造られている。
旧旭農場産業組合は、米国で近代農業を学んだ小林直三郎氏が創設した旭農場を母体に作られた産業組合。地域産業の歴史を示す建物としても価値があると判断した。