自由な国に住んでいることの有り難さを、しみじみと実感する昨今のご時世である。〝自由〟という言葉が胸に染みるフォークグループ「赤い鳥」の名曲『翼をください』(山上路夫作詞、村井邦彦作曲)を久々に思い出した
▼何度も繰り返されるこの一節を聞くと、思わず口ずさんでしまう人も多いのでないか。「この大空に 翼を広げ 飛んで行きたいよ 悲しみのない 自由な空へ 翼はためかせ 行きたい」。そう叫びたいが、口には出せない国に暮らす人もいる。国民を犠牲にして弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮や、国内の情報を統制して残虐なウクライナ侵略を進めるロシアなどはその筆頭だろう。独裁者と自由は相いれない
▼世界の自由を定点観測している国際NGO「フリーダムハウス」が先頃、2022年版の年次報告書を発表した。それによると、悪い点数順に並べたランキングで、最も自由がない国は1点の南スーダンとシリア。次が2点のトルクメニスタン。これに3点の北朝鮮が続く。政治的権利と市民的自由を点数化して合計し、34点までを自由のない国と規定している。ロシアは19点と最下位グループ入りを免れた。とはいえ、これはウクライナ侵略前の評価に基づいたもの。次回の23年版では肩入れしているシリアや北朝鮮に近付いているに違いない
▼一方、自由な国の最上位はいずれも100点のフィンランド、ノルウェー、スウェーデン。ちなみに日本も96点でかなり上位にいる。自由な空がもっと広がり、人々が翼を使わずとも幸せに暮らせるようになればいいのだが。