危険な空き家、増加を懸念 三笠市が初の行政代執行除却

2022年04月08日 17時30分

実態調査や適切な維持管理周知など対策推進

 市初の行政代執行で空き家除却へ―。三笠市は2022年度、倒壊による危険を防ぐため、緊急性の高い特定空き家を対象に略式代執行で1件、行政代執行で3件を除却する。これまで略式代執行で計4件を除却しているが、市が行政代執行で空き家を除却するのは初めてとなる。

市内には崩壊寸前の空き家が点在する

 22年度予算には4棟の除却事業費に1140万7000円を計上。国の空き家対策総合支援事業補助金456万2000円を活用する。指名競争入札は略式代執行1件は4―6月、行政代執行3件は7―9月を予定し、工期は2カ月程度を見込んでいる。

 略式代執行1件は、適切な管理がされておらず、所有者の死亡や相続放棄などで対策を指導する相手も存在しない、緊急性の高い特定空き家。幌内町3丁目47の2にある1958年建設の店舗併用住宅(W造、2階、延べ153m²)で、現状は原形をとどめていないほど崩壊している。除却に300万円を見込む。

 行政代執行3件は所有者や相続人に指導を続けても除却されない、緊急性の高い特定空き家。所有者・全ての相続人らを洗い出し、指導を繰り返してきたが、一行に対策が講じられないため、行政代執行に踏み切る。事業費は3件で840万円程度。各棟の除却費用は今後、それぞれの相続人に対し請求する。

 空き家の発生と密接な関わりを持つのが人口減少だ。市の人口は石炭需要期のピークとなる1960年以降、炭鉱閉山とともに減少。ピーク時の6万人近い人口は現在8000人を切っている。

 21年度の調査によると、共同住宅を除く戸建ての空き家は483件。建物に目立った腐朽破損がない空き家183件、外壁や屋根、窓に腐朽破損があるが一部修繕すれば利活用が見込まれる空き家が173件。また、建物が傾き、外壁、屋根などの腐朽破損が著しく、倒壊の恐れがある空き家44件、倒壊した場合隣接建物か前面道路の通行に影響がある空き家83件の内訳だった。

 松本裕樹建設部長は「特定空き家20件のうち、現在8件の相続人の洗い出し作業をしているが、作業量は膨大。今後、空き家がどんどん増えてくれば、自治体だけで抱えきれない問題になる」と懸念。市では空き家の課題解決に向け、家屋の実態調査、適切な維持管理の周知、空き家の利活用や除却の推進、相談体制の整備を進める。(岩見沢)


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