写真やゲームで地域の魅力発信 室蘭の2団体がUDC銅賞

2022年04月15日 17時45分

課題解決へデータ利活用

Code for Muroranの川口さん(右)、
チームうみねこパンの高田さんと佐々木さん(左から)

 社会基盤情報流通推進協議会主催のアーバンデータチャレンジ(UDC)with土木学会インフラデータチャレンジ2021で、室蘭の市民団体Code for Muroranの「室蘭時層写真プロジェクト」と、室蘭工大などの大学院生3人による有志・チームうみねこパンの謎解きゲームアプリ「船内脱出ゲーム・なぞなぞクジラと不思議な船」が銅賞を受賞した。オープンデータなどを活用し地域課題の解決を目指す取り組みが評価された。

 協議会は産学官連携で社会インフラに関わる情報の収集、配信、利活用などを進める。UDCは自治体が保有・公開するデータの利活用方法などを募るコンテスト。3月12日にオンラインによる最終審査会が開かれ、同日付で受賞が決まった。

 「時層写真」は、過去の写真を現在の同じ景色に重ねて撮った写真。写真公開用のクラウドストレージサービスを提供するインフォラウンジ(本社・横浜)の協力を得て、2021年9月からウェブ上で公開している。時層写真と、その元になる市内で撮影した古写真を合わせた公開枚数は558枚に上る。

 審査では、集めた写真の枚数や写真を使ったイベントの成果が評価され、UDCに参画するオープンガバメント推進協議会特別賞銀賞も受賞した。

 Code for Muroran代表を務める室蘭市企画財政部企画課企画係研究開発・IT企業等誘致プロジェクトチーム主任の川口陽海さんは「写真は民間のオープンデータ。地域の歴史をつなぐ上でアーカイブすることは重要で、街を知るきっかけにもなる」と話す。

 川口さんは寿都町出身だが、活動を通して市民が室蘭の街に強い思い入れを持っていることを実感。開港150年、市制施行100年のことしは「街歩きのイベントを企画し、時層写真をさらに増やしたい」と意気込む。

 船内脱出ゲーム・なぞなぞクジラと不思議な船は、地域交通・観光活性化を目的とした謎解きゲームアプリ。フェリー乗船客が船内限定で遊べるコンテンツとして開発し、21年12月に川崎近海汽船の室蘭発八戸行きフェリーの船内で実証実験した。プロトタイプとなる前作品が19年のUDCで銀賞を獲得している。

 ゲームはスマートフォンアプリと小冊子などで構成。ローカル船を舞台にクジラとウミネコのキャラクターが展開するストーリーに沿って、楽しみながら室蘭、八戸の観光スポットや地域の魅力を学べる。オープンガバメント推進協議会特別賞銅賞も受賞した。

 チームは、室蘭工大大学院環境創生工学系専攻土木工学コース、有村幹治教授の研究室で都市計画を学ぶ高田光太さんと佐々木悠貴さん、北大工学院北方圏環境政策工学専攻構造デザイン工学研究室の林川敬行さんの3人で構成する。

 代表を務める高田さんと林川さんの作品が前回受賞。今回は電気通信普及財団から180万円の補助を受け、現地取材や開発仕様書作成、新型コロナウイルス感染症対策を含む社会実験に取り組んだ。

 高田さんは「人口減が進む室蘭の活性化に貢献したい。フェリー航路は休止中だがノウハウを生かし、市内の建物でことしイベントを開きたい」と話している。


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