
布村隆二社長
SPC函館本町開発布村社長に聞く
若者が多く集まる函館市五稜郭エリア。その中心に立つシエスタハコダテが22日で創業5周年を迎える。地下から3階までは無印良品などの店舗、4階には市民向けコミュニティスペースのGスクエアが入る。5階以上は分譲マンションと道内では珍しい官民一体の施設。事業主体であるSPC函館本町開発の布村隆二社長に、これまでの5年間や地方都市の未来について聞いた。(函館支社・鈴木 楽記者)
―開業後5年間を振り返って。
「居住性を高めて若者が集える拠点に」というコンセプトでシエスタを造った。まちなかに住む人が増えることで店が生まれるという狙いがあった。
1年前の内部改修を機に、無印に加えて、スターバックス、眼鏡のJINSなど多様な店が入った。客足は開業当初より順調に伸びている。
4階では、地域とのつながりを大切にいろいろな企画をやってきた。学生がよく集まる空間でもあるので、Gスクエアが果たす役割には満足している。
―今後の展望は。
商業の面では、何が市民に求められているかよく考え、さらなる改修を視野に入れる。丸井今井函館店などの近隣店舗と協力しながら、五稜郭エリアににぎわいをもたらしたい。
4階では、ジャンルを問わず日本の最前線で活躍する人の話をもっと聞けるようにしたい。偉大な実績を残す人の話は何よりためになる。函館でそうした人の話を聞ける場はあまりないので、特に若い世代に向けて提供したい。
―これからの函館をどう見ているか。
函館は地理的には不利だが、歴史などでかなり恵まれていて、それに満足しているように感じる。より多くの人が参画してまちづくりに関わると面白い。不利な条件の町の人ほど必死に取り組むのをよく見てきた。
―函館以外の街でも中心部の商業施設の在り方が問われている。
店舗で物がそう売れる時代ではない。地方都市で大規模施設を民間だけで運営するのは、もはや厳しいのではないか。行政、民間が一体となって運営する必要があるだろう。
街ごとに抱える課題は異なる。どのような施設を整備するのかではなく、どういったサービスが市民に求められ、何を目的に整備するのか考えることが何よりも重要。足りないものを埋めるという考えだけでは不十分だろう。