コロナ後に向けて

2022年05月13日 09時00分

 感染予防に使う〈マスク〉は俳句の冬の季語だが、新型コロナウイルス感染拡大防止で皆が年中着けているためすっかり季節感がなくなってしまった

 ▼こんな句がある。「マスクした顔が集いて交差点」由岐中陽子。コロナ禍前なら風邪が流行っている冬の街の一コマだとすぐわかった。今はそう思えまい。「居眠れる乙女マスクに安んじて」京極杞陽。これも冬限定の安心だったはず。今やいつでもどこでもである。そんなマスクもこれからは徐々に季節感を取り戻していくのかもしれない。松野博一官房長官が11日、定例記者会見で屋外でのマスク着用に言及した。人との距離が取れていれば着用は必要ないというのである。厚生労働省に助言する専門家会議の脇田隆字座長も同じ意見だった

 ▼これまでは屋内外問わずマスク着用を促してきた政府の、事実上の方針転換だろう。ワクチン複数回接種の進展や抗コロナ新薬開発を含む治療法の確立、ウイルスの変異などで対策の局面が大きく変わってきたようだ。このいまいましい迷路も、出口に近付いたということか。政府がおととい、これまでのコロナ対応を検討する有識者会議の初会合を開いたのも収束を見据えた動きに違いない。都合の悪い事実や失敗も隠すことなく検証してもらいたいものだ

 ▼例えば国立感染症研究所が3月に出したレポート。広島県でことし1月に重症とされた患者の7割が実は中等症か軽症だったそうだ。再点検が必要な数字もたくさんあろう。「嘘つきし口をマスクで覆ひけり」増山登。くれぐれもそんなことのないように。


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