札幌商工会議所は23日、市内の北海道経済センターで建設業と警備業の意見交換会を開いた。交通誘導員不足について、求人倍率が高止まりし、なかなか採用に結び付かない厳しい状況が報告された。
市内の道路工事で交通誘導員が足りない現状を連携で乗り切るため、2019年度から札商の舗装工事分科会と建物サービス・警備分科会、北海道警備業協会などで意見交換会を開いている。5回目となる今回は、総合工事分科会のメンバーも参加し議論を深めた。
舗装工事分科会の熊谷政行副分科会長は、交通誘導員が確保できないために入札を諦めるケースがあることや、職場環境が過酷でなり手がいないことなどを伝えた。
北警協の吉田謙一専務理事は、警備員全体の求人倍率を報告した。21年10月末に4・56倍となり、近年で最高値を記録。交通誘導員に限るとさらに上昇し約20―25倍に達する。
「3カ月限定で日給1万5000円で募集をかけた会員企業もいたが、1人も応募がなかった」と厳しい状況を明かした。
北警協は、会員企業が直接求職者に業務内容を説明する就職支援セミナーを開催している。ただ採用率は5%程度にとどまり、プレゼンテーションの出来によって各社の採用に差が出ている。
また求人を出している警備会社の平均月給が17万円で、求職者が望む月給より2万円程度下回ることから「この溝をいかに埋めるかによって採用が決まる」と指摘した。
北警協の清水拓也副会長は、土曜日を休日とする現場が増えたことで、1日の単価が上がっても日給月給制を採用している警備員の給料は下がり、離職につながるケースを伝えた。
札商建設部会の高橋英明副部会長は、課題として①福利厚生の充実②賃金の改善③社会的に認められる誇りが持てる仕事であるか―の3点を挙げた。他業種より低水準となっている設計労務単価に関しては、公共事業労務費調査で不良標本が発生しないよう説明会への参加を呼び掛けた。