中札内村は、市街地のにぎわい創出に向けて旧役場庁舎跡地[MAP↗]にパブリックキッチンを新築し、交流の場として活用する。食育や地産地消に関するさまざまなイベントを展開して、地域の活性化につなげる考えだ。周辺では温泉施設新設など民間事業者による取り組みも進み、新たなにぎわいの場が生まれようとしている。(帯広支社・草野健太郎記者)
森田匡彦村長は「車が駐車場に止まっているだけでは意味がない」「市街地に人が集まれば村の空気が活気づく」として、人が集う仕組み、場所づくりを重視し「十勝の食」に着目した。
2021年5月に新役場庁舎の供用がスタート。老朽化が顕著な旧役場庁舎の跡地に村民からの要望があったパブリックキッチンを新築する。22年度は永井工業が旧役場庁舎を解体し、23年度着工に向け動き出した。
パブリックキッチンはW造、平屋、延べ300m²規模を想定し、キッチンスタジオや食事スペース、キッズコーナーなどを設ける。隣接する農村環境センターも内部のレイアウトを変更してワークスペースなどを配置。パブリックキッチンと渡り廊下でつなぐ。おいしさ、楽しさ、学び、出会いを凝縮した施設づくりを目指す。
民間事業者の取り組みも活発だ。そら(本社・帯広)は、リゾート施設のフェーリエンドルフ内に温泉施設を新築中。ふるさと納税型クラウドファンディングで1億円を募集し、25日現在で1305万円が集まった。
札内川ダム内で熟成した豆を使った「ダムコーヒー」にも注目だ。4月末にオープンしたハレノヒ珈琲店が取り扱う。村はふるさと納税の返礼品起用を検討していて、特産品の一つとしてアピールする。中札内村への関心を引く狙いがある。
森田村長は「コロナ禍でも、人がしっかり交流できるようにしたい。パブリックキッチンにしても、完成した後が勝負」と意気込む。
大樹町の宇宙への挑戦や更別村のスーパービレッジ構想など、勢いのある風が南十勝に吹いている。民間企業との相乗効果でいかににぎわいを創出するのか、中札内村の手腕が問われる。
P 旧役場庁舎。解体してパブリックキッチンを新築する