ドローンとAIで海岸への流木漂着量を迅速把握 道総研

2022年05月28日 10時00分

労力軽減など期待

 道総研のエネルギー・環境・地質研究所は、台風や豪雨によって河川から海岸に漂着した流木に関し、ドローンとAIで迅速に漂着量を把握する技術を開発した。流木の漂着量は人力で把握しなければならなかったため、時間や労力の軽減、安全面での効果が期待できる。今後は開発協力した富士通Japan(本社・東京)と共に普及に努める方針だ。

大量の海岸流木は漁業施設を壊したり、消波ブロックの機能を
低下させるなどの影響がある

 道環境生活部や十勝総合局などが協力し、道総研の重点研究として3年間取り組んできた成果。エネルギー・環境・地質研究所が19、20日に開いた「2022エネ環地研成果発表会」で発表した。

 林業試験場の長坂晶子研究主幹らは、宇宙から地上を観察できる衛星画像を使い、豪雨後の流木の漂着状況を効率よく把握する技術を開発。流木が再流出した時に被害を受けやすい漁業施設や海岸工作物までの距離などを加味し、「処理優先区域」として地図上に色分けし表示。汎用性を考え、衛星画像は高解像のWorldViewより安価に入手できるSPOTのものを使用した。

 循環資源部の山口勝透主査らは、海岸流木を短時間に自動識別できるAIを開発した。正しく分類できているかを示す適合率は90%以上、取りこぼしなく検知できているかを示す再現率は80%以上という高精度。合わせて流木の分布面積や体積を推計するアプリと、ドローンによる現地調査法を考案し、一連の技術を迅速把握手法として確立した。

 これまで流木量の把握は、平均断面法とオベリスク法の2通りで推計した。平均断面法は流木が漂着したままの状態で測量できる半面、誤差が大きい課題を持つ。オベリスク法は流木を寄せ集めてから測量する方法で、人員や重機が必要だったり作業過程の危険が課題にある。

 これら人力による従来の方法に比べて、開発したAIとドローンによる現地調査法は時間や労力を3分の1に軽減。体積の推計誤差はプラスマイナス20%以内まで改善できた。今後は関係省庁や海岸管理者、コンサル企業などにPRし、広く使ってもらえればと考えている。

 道環境生活部によると、2016年8月の北海道豪雨で約13万m³の流木が道内の海岸に漂着し、うち9割が十勝地域だった。流木の漂着量は人力で把握しなければならず、全体を把握するには数カ月かかったという。

 大量の流木が発生すると、漁業施設を壊したり、消波ブロックの機能を低下させるなどの影響がある。このため被害が広範囲に及ぶ場合は優先順位を決めて対処し、現状は地元の要望や現場担当者の経験に基づきながら作業する海岸を判断している。


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