自販機で「昆虫食」拡大へ ハシエンダインターナショナル

2022年07月18日 10時00分

札幌市内で9台運営 コオロギ養殖も計画

「昆虫食は環境と人間にやさしい」
と氷室社長

 オリジナルキャラクター「ゾンベアー」などを手掛けるハシエンダインターナショナル(本社・札幌)が、自販機を活用した昆虫食の販売拡大を進めている。札幌市内で9台の昆虫食自販機を運営し、コオロギ養殖や独自商品開発などを計画。氷室信康社長は「昆虫食はSDGsにも合致する。親しみやすい商品を提供して購買層拡大につなげたい」と意気込む。自販機事業全般も強化する。

 札幌市白石区で1月に開設した「自販機ランド」やススキノ、商業施設のラソラ札幌などに置き、販売場所を増やしている。自販機ランドにある2台で半年間に千数百個を売り上げたという。東京都の歌舞伎町に置く計画も進む。

 氷室社長はSDGsの理念との合致に感銘を受け、昆虫食に着目した。栄養価に対して環境負荷が低く、フードロスを餌にできるなど環境と人間の双方にやさしいと強調する。

 仕入れる昆虫食のほとんどはタイ原産、日本加工だ。コオロギやサゴワームの素揚げ、イナゴパウダー入りのあめなど多様な商品をそろえる。素揚げは塩で味付けされサクッとした食感だ。購入客は若年層の男性がほとんどだが、中には小中学生もいるという。

コオロギやサゴワームの素揚げ

 価格はコオロギの素揚げ5gが880円など決して安くない。小売業者同士で取り合いになっているというタランチュラは1匹2700円の高級食材だ。

 同社は原価低減や安定供給を見据え、道内でのコオロギ養殖事業に向けた準備を進めている。コオロギはタンパク質が特に高いとされ、生まれて1―2カ月で成虫になるため生産効率も高い。ビニールハウスで育てられるため設備投資も比較的小さく済む。今夏にも着手する考え。自社大量生産が可能になれば商品価格を抑えられると期待する。

 消費者の心理的抵抗感を減らすためにクッキーやミックスナッツ、パウダーなど虫の直接的な見た目を避けた商品を開発する。キャラクターを生かしたポップな商品外観と合わせて購買層の拡大を狙う。

 昆虫食以外の食品も自販機で取り扱い、約20台の自販機を置く自販機ランドでは冷凍ラーメンや焼き芋などさまざまな食品を提供する。自販機は人件費が要らず24時間営業できる一方、冷凍自販機の電気代は特に大きく1台で月8000円ほどかかるという。

 立地や季節に応じた商品選びも重要だ。同社はスイーツやパンなど新たな冷凍商材も検討しながら消費者に飽きられない販売施策に取り組む考えだ。


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