東電旧経営陣に責任

2022年07月15日 09時00分

 室町幕府8代将軍足利義政は、日本史に登場する人物の中でもかなり評判の良くない方に属する。銀閣寺建立など趣味には熱心なものの、優柔不断で他の人の意見や時流に流されやすいため、政治に混乱を招くことしばしばだったらしい

 ▼後継問題でもいったんは弟に譲ると決めながら、妻に実子にせよと責められるとすぐに手のひらを返す。このとき生じた弟とのあつれきが後に応仁の乱につながったとの説もある。乱で京都の街は一面焼け野原と化した。巻き込まれた人が皆つらい思いをしている中で、義政は酒食に興じていたと伝わる。評価が落ちるのも当たり前だろう。無責任な人物が組織の上に立つと、どんな恐ろしい事態を招くか分からない

 ▼東京電力福島第1原子力発電所事故にも同じ背景があったということでないか。旧経営陣5人が「津波対策を怠り会社に損害を与えた」として、株主が賠償を求めた代表訴訟で東京地裁は13日、4人の責任を認め、合わせて13兆3210億円の支払いを命じた。大津波の予測試算があったのに、旧経営陣が過小評価して対策しなかったのは注意義務違反に当たるとの判断だ。妥当に思える。旧経営陣が事故後一貫して責任逃れをしていたのは見苦しかった

 ▼当時の責任が明らかになってこそ原発の再稼働も進むというものだ。ただ個人に課すにしては天文学的すぎる賠償額には首をかしげざるを得ない。積み上げた金額なのは分かるが、現実離れした賠償はかえって責任を宙に浮かせてしまわないか。義政に京都を一人で直せといっても無理に決まっている。


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