技能実習生の試験対策のほか日本人の新人教育にも効果発揮
音更町内で外国人向けの日本語教育を展開する杉山プロデュースは、簡単な日本語で型枠施工を学べるテキストを発刊した。外国人技能実習生向けで技能検定の試験対策に活用可能。杉山絵理代表が中心となり制作し、作業内容を日本語で理解する重要性をアピールする。現場での言葉の壁をなくし、安全作業実現にも一役買っている。
実習生は入国後8―9カ月で技能検定を受ける。合格すれば在留期間が2年延長になるが、不合格の場合は帰国を余儀なくされる。
きっかけは杉山代表の実体験。開業前に勤めていた建設会社で技能実習生を受け入れていて、型枠・鉄筋・とびで実習に励む実習生の生活指導員としてサポートした。
杉山代表は、現場で使う言葉と試験問題文の違いに着目。「彼らは私たちの表情で意味を読み取っている。理解できていなくても反射的に『分かりました』と答えていた」と、見よう見まねで覚える実習生が多いと指摘する。根本的な原因は言葉の壁だ。
2019年に杉山プロデュースを立ち上げた。20年には「やさしい日本語」の普及を目指し、一般社団法人にほんごさぽーと北海道を設立。言葉での理解が安全確保や技術習得に役立つと考え、テキスト制作に取り組んだ。
全国の日本語教師らと協力。小学校低学年程度の日本語でまとめ、漢字にはふりがなを振った。現場用語などは、十勝管内の建設会社に勤める職人や藤井建設(本社・愛知県安城市)が監修。難しい用語を簡単な日本語にした。
写真やイラストを活用し、視覚的にも学びやすく編集。言い換えが難しい言葉は、QRコードを読み取って解説動画の視聴が可能だ。外国人だけでなく、日本人の新入社員教育にも効果を発揮する。
杉山代表は「安全指導を聞き流さず、慣れからくる会話の減少を防ぐ」と日本語で理解する重要性を説く。「受け入れ企業にも最低限指導する責任がある。テキストを通じて日本語教育の大切さを感じてほしい」と願った。今後は鉄筋、とびのテキストを制作予定だ。
テキストは税込み1980円。企業向け研修とのセットも用意する。日本人職員、技能実習生試験対策、両方の3種類。対面かオンラインでモニター価格は税込み25万3000円。杉山プロデュースのホームページから申し込み可能だ。