新型コロナウイルスが攻撃したのは人の体だけでなく、人と人との温かなつながりもだった。今ではその事実も多くの人の共有するところだろう
▼家族の楽しいだんらんを邪魔し、友人との対面での交流を避けさせ、祭りやライブコンサートのように大勢集まって一体感を持つ機会を失わせた。それがどれだけ人の心に負の影響を与えたか、本当に信じられないほどである。こんな事態は誰も経験したことがなかった。普段なら若干やぼに聞こえる武田鉄矢「金八先生」の名ぜりふ「人という字は支え合って人となる」も、こんな状況ではしみじみ納得させられる。人と人とのつながりの大切さはそんな感覚的な部分だけでなく、数値でも明らかにされていた
▼内閣府が毎年実施している「満足度・生活の質に関する調査」である。先月29日に公表された2022年版の報告書(3月調査)によると、〈総合的な満足度〉は前回21年調査からほぼ横ばいだったものの、女性に限ればはっきりと改善の動きが見られた。満足度の改善に寄与した項目を見ると、社会とのつながりや生活の楽しさ・面白さの向上が目立つ。前回も社会とのつながりの低下が満足度を引き下げていた。コロナ禍の行動制限は女性への影響がより大きかったことを証明していよう
▼一方、男性は女性で向上した項目が軒並み伸び悩んだ。どうやらつながりを取り戻せてはいないらしい。本道のきのうの感染者数は5546人。天井はどこにあるのか。行動制限の話も聞こえてきそうな気配だが、人と人とのつながりだけはもう失いたくない。