工場集約し経営と供給体制維持
函館生コンクリート協同組合(12社、成田真一理事長)の組合員3社がこのほど、工場を閉鎖し共同操業を始めた。近年続いている需要の減少が著しくなってきたことから、工場の集約化で経営を健全化し、供給体制の維持を図る。成田理事長は「需要に対応して安定供給しながら採算性も確保するため、苦渋の決断をした」と話している。
ニレミックス(本社・札幌)が函館市内に構える豊原工場、函館生コンクリート(同・七飯)と相互商事(同・北斗、旧熊谷孝業所)の各工場が7月末で閉鎖。集約先はニレミックスが北斗市七重浜に置く函館工場とした。
函館圏を中心に、函館新外環状道路などの高規格道路網が充実してきているため、90分という制約がある生コンの運送に影響はない見通し。従業員は社内の配置転換などで雇用を維持する。
この30年あまりの同協組の年間生コン出荷量を見ると、1995年度の50万7613m³をピークに下降を続けている。2014年度以降は20万m³を割っていて、21年度は8万6724m³だった。
これに伴い、工場も共同操業化などで合理化を図ってきた。ピーク時の94年度には19工場中18工場が稼働していたが、19年度からは20工場中9工場体制。今回の共同操業化で20工場中6工場となった。
成田理事長は「需要の減少に加え、セメントメーカーがウクライナ情勢を背景に石炭値上げ分を価格転嫁するサーチャージ制を導入するなど、原材料費が上がり続けている」と業界の窮状を訴える。
その上で「北海道新幹線の札幌延伸工事が一服すれば、ほとんど需要がなくなるのでは」と危惧。将来を見据えて「さらに2工場程度を集約せざるを得ないだろう」と話している。