厚生労働省がまとめた2022年上半期(1―6月)の人口動態統計速報によると、北海道の出生数は1万3445人で、前年同期から1103人減少した。このままいくと21年の年間出生数2万9760人(速報値)を下回り、1899(明治32)年の統計以来最少を更新するペースだ。少子化によりストック住宅や空き家問題も一層顕著となり、関係行政や、建設、不動産業界の頭を悩ませそうだ。
月別に見ると、5月が2334人で最多。次いで1月は2287人、3月が2276人などとなっている。全月が前年同月を下回っている。道内出生数のうち札幌が5695人を占めるが、前年から406人減っていて、道都も少子化の波からは逃れられない現状だ。
全道の婚姻数も前年同期から465件減の9828件で1万件を割った。新型コロナウイルスの感染拡大で将来を不安視し、結婚や妊娠を控える傾向にあったことが影響したとみられる。
道内の出生数はこれまで、1950年ごろに14万人ほどを数えピークに。56年には10万人を割り、20年には3万人を下回っている。
全国の上半期の出生数を見ると、東京の4万3817人が最多で、次いで大阪の2万8095人、神奈川の2万7280人など、1万人以上の都道府県は10あった。全体では38万4942人。2000年以降最少で、初めて40万人を下回った。
総務省がこどもの日に合わせことし5月1日に公表した15歳未満人口推計では、総数が前年比25万人減の1465万人で82年以来41年連続で減少している深刻な状況だ。
道内も82年以降減少が続き、21年10月時点の確定値で54万4000人と全国45位の少なさとなっている。ピーク時には道内の15歳未満人口は128万人いたものの、92年には97万1000人で100万人を割り、17年には50万人台に入った。近年は毎年1万人のペースで減っていて、5年後には50万人も下回る計算だ。
少子化の問題は、都市と地方の格差拡大を生み出すとともに、あらゆる産業の担い手が減少、地方では特に1次産業である農林水産業の後継者不足がさらに深刻化する可能性がある。産業の衰退によって地域が疲弊し、人口流出が過疎化を招く悪循環に陥りかねない。
人口の減少は住宅産業とも連動する。今後は、戸建てや共同住宅を問わず、適齢期から子どもを持つ世帯は減少の一途をたどり販売戸数は大きく後退していく見通しだ。