知床の観光船事故犠牲者が小樽港へ

2022年09月13日 09時00分

 11年前に東北の太平洋側沿岸を襲った津波は、たくさんの人を海の彼方へと連れ去った。警察庁によると東日本大震災の行方不明者は、ことし3月現在で2523人に上るという。それだけの人がいまだ発見されていない。あらためて聞くと途方もない数である

 ▼現地では11年以上過ぎた今も警察と関係者が協力し、諦めることなく捜索活動を続けている。一人でも多くの人を家族の元に帰してあげたい一心だそうだ。行方不明者との関わりを示す遺骨や遺品が見つかれば、残された家族が心の整理をする助けになろう。何もない状態では気持ちはいつまでも宙ぶらりんである。知床半島沖で小型観光船が沈没した事故に絡んでのこの出来事も、遺族にとっては心の重しを少しだけ取り除くものになったのでないか

 ▼行方不明者のうち、北方領土の国後島とロシアのサハリン南部で発見された男女3人の遺体が帰ってきたのである。3人を乗せた第1管区海上保安本部の巡視船「つがる」が10日、小樽港に到着した。日本の制裁に反発したロシア政府が6日、北方領土元島民の「ビザなし交流」合意を一方的に破棄するなど日ロ関係が悪化しているさなかである。実現を懸念する声もあった。尽力した日本の関係者と、遺族の気持ちに寄り添ってくれたロシアの方々に感謝したい

 ▼先月も斜里町の海岸で遺骨が見つかり、乗客と確認された。それでも行方不明者はまだ8人いる。時間がたっても遺族の悲しみは癒えないものだ。大震災後の活動に倣い、機会と状況を見ながら地道な捜索をどうか続けてもらいたい。


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