通勤のため毎日同じ道を歩いていると、街路樹のナナカマドの実が少しずつ色を変えていくのを眺めることになる。今はもうだいぶ赤くなった。イガ栗が茶色くなって道端に落ちているのに気づくのも、この時期ならではだろう
▼「誰かさんが/誰かさんが/誰かさんが/みつけた/ちいさい秋/ちいさい秋/ちいさい秋/みつけた」。子どものころに習ったサトウハチローの童謡が、ふと口をついて出てきたりして。とはいえ見つけたと思ったらすぐに通り過ぎ、じっくりと味わう暇もないのが本道の秋というものだ。きょうで9月も終わり。あしたからはもう10月である。まだ日中25度くらいまで上がる地域もあるが、ひと雨来るごとに気温は下がっていく
▼天気予報を見ると週明け早々に雨が降った後、日中の気温は一気に10度台前半にまで急降下するようだ。「三日降れば世を距つなり秋の雨」水原秋桜子。外に出るのがおっくうでつきあいも減るという句なのだが、寒さが加わるとなればなおさらだろう。その日になって突然の寒さに驚き慌てふためくのもしゃくである。この週末のうちに何かと準備しておきたい。暖かい服はすぐ出せるところにあるだろうか、ストーブと燃料は大丈夫か、峠を越える予定があるなら車のタイヤは―
▼帝国データバンクの調べによると、10月には酒類や飲料、加工食品を中心に6500品目以上で値上げが予定されているそうだ。懐の方も秋の雨の後並みに寒くなる。こればかりは努力でどうにもできなかろう。せめて体くらいは温かさを保てるようにしておきたい。