自治体では国内初 民間サービス創出へ
札幌市は、データ取引市場を11月に開設する見込みだ。官民のデータを有償・無償で取引する基盤を整える。データを活用した民間サービスを生み出し、地域課題の解決につなげる狙いだ。市によると、自治体でのこうした取り組みは国内初となる。併せて、市場を活用した民間サービス創出に関する調査に今月着手。具体的なサービスモデルを示して民間の利活用を促す。
市はICT活用プラットフォームの運営などでオープンデータ利活用を推進してきたが、複製や二次利用の懸念などから、民間のデータ提供が進んでいない。さっぽろイノベーションラボ(本部・札幌)と協働で数年かけて取引市場の仕組みを構想した。
市場ではまず、札幌市のオープンデータや、複数の民間企業から自動車走行や気象のデータなどが提供される見込み。冬季物流の課題解決などに生かしてもらう考えだ。データ提供する企業や自治体を引き続き募り、流通量増加を図る。
機能面でも利便性を高める。秋元克広市長は9月30日の3定代表質問で「デジタル空間上で決済が完結する機能や、データ提供者がデータの利用条件を設定できる機能の構築に着手している」と述べた。
デジタル戦略推進局は、9月29日付で調査研究業務を公募型プロポーザル公告した。高齢化などの行政課題を抱える代表地域を1カ所選び、市場データを生かして課題を解決するような民間サービスを提案してもらう。単独で収益を上げられる事業モデルが要件だ。
契約限度額は税込み900万円とし、履行期間は2023年2月28日まで。参加意向申出書や企画提案書を11日まで受け付ける。書類審査やヒアリングを経て今月中旬にも契約候補者を選定し、下旬の契約締結を見込む。参加資格は市の競争入札参加資格者名簿に登録されていることなど。
提案されたサービスは、政府のデジタル田園都市国家構想推進交付金を獲得した上で実装を目指す。
データ提供者とサービス事業者を仲介するコーディネーター業務も22年度の当初予算に計上していて、今後執行する予定だ。