史料保管へ早期整備を
函館市議会総務常任委員会が5日、函館市役所で開かれ、市教育委員会が設置を構想している仮称・総合ミュージアムの方向性について意見交換した。歴史的な史料の保管環境改善へ早急な整備を求める声が目立った一方、市民のニーズなどあらゆる角度から検証すべきだとする指摘があった。
市教委は函館博物館、北洋資料館、郷土資料館、北方民族資料館、文学館の5施設を統合する総合ミュージアムの新設を構想している。5月に整備構想策定に向けた基本的な考え方のたたき台を示し、9月30日までパブリックコメントを募集した。
同委員会は9月27日、展示や史料保管の状況などを確かめるため、5施設を現地調査。これを踏まえて意見を交わした。
史料の保管環境に関し、バックヤードの温湿度管理が不十分で、劣化を心配する声が目立った。特に、全世界で5万点あるとされるアイヌ民族関連史料のうち、1万点が市内にあることなどからも、総合ミュージアムの早期整備による保管環境改善を求める意見が相次いだ。
施設面では、エレベーターを設置していないことなどから高齢者、障害者の観覧に適していないと指摘。アクセス道路が狭い施設があり、来館者数の伸び悩みにつながっているとする見解もあった。
その一方、整備に向けては慎重な検討を求める意見が上がった。人口減少や少子高齢化が進む中、総合ミュージアムが今後の市民生活にどのように結びつくのかといった点や、来館者数が伸びない要因を多角的に分析する必要性があるとした。
同委員会は11月8―10日、神戸市と名古屋市の行政視察を計画。博物館などのリニューアル事例について情報収集する考えだ。