下川町と美深町がCO₂クレジット販売 地域活性化へ期待

2022年10月13日 16時59分

資金は植樹や森林整備に活用

 地球温暖化対策でカーボンオフセットに注目が集まる中、それぞれ面積の8割を森林で占める下川町と美深町では、森林で吸収した二酸化炭素(CO₂)をクレジットとして販売している。クレジット取引は森林整備などに活用され、地域の活性化につながることが期待される。

森のCO₂吸収量を生かした取り組みを実施している

 カーボンオフセットは、日常生活や事業活動で排出する温室効果ガスのうち、削減が難しい排出量を投資などで補うという考えを指す。国が「クレジット」に認証した森林保全や再生可能エネルギーの整備プロジェクトなどへ資金提供することでクレジットを購入し、排出量と同等の温室効果ガスを埋め合わせる。

 森林の面積が大きい上川北部では、森林のCO₂吸収量が域内での排出量を上回る自治体があり、吸収量をクレジットとして売買する取り組みが以前から積極的に実施されてきた。

 町の86%が森林で占める美深町では、2021年10月からクレジットの販売を開始。710tほどのクレジットを取引する。

 町に試験場を構えるSUBARU(スバル)が購入するほか、22年からは日本航空がカーボンオフセットの取り組みを通じて美深町へ投資を開始。乗客の飛行距離に応じ、CO₂削減プロジェクトの国際的プラットフォームを提供するノルウェーの会社を通じてクレジットを購入している。

 資金は植樹祭や植林などの森林維持や保全活動などに使う。将来的にはバイオマスやチップを製造する木材工場の機械更新費用に充てることも検討している。

 下川町は08年に足寄町、滝上町、美幌町の4町で協議会を設立。森林吸収や町が進めるエネルギーの木質バイオマス転換で削減したCO₂を10―14年でクレジットとして発行した。

 発行量2万9781㌧のクレジットのうち、22年8月時点で8469tを販売。金額にして1億8700万円に上る。

 売り上げは4町で分割し森林整備などに充てる。旧クレジットのJ―VERを発行しているため、今後は発行済みクレジットの販売完了後に新たなクレジットを発行する。

 士別市ではクレジット発行について検討を進める。環境省の自治体排出量カルテによると、19年度のCO₂排出量は17万7000t。22年8月時点の吸収量14万3000tを上回ることから、今後は住民や企業と協力しCO₂排出量を減らしつつ植林など森林整備を進め、余剰分をクレジットとして販売したい考えだ。


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