仕入れから納入後までクラウド管理
旭ダンケ(本社・旭川)は、二酸化炭素排出量の可視化や低炭素製品の開発など脱炭素の取り組みを加速させている。CO₂排出量の可視化では今後、仕入れから納入後まで事業全体のCO₂排出量をクラウド管理し、削減計画を設定。脱炭素実現までの道筋を明確にする考えだ。
アスエネ(本社・東京)が提供するCO₂排出管理サービス「アスゼロ」を使用。製造量や電気・ガスの請求書、ガソリンのレシートなどを基に数値を入力すると、CO₂排出量を自動算出できる。さらに製品・サービス単位のCO₂排出量が確認できる「製品LCA」機能もある。
環境省が示すサプライチェーン排出量の算定方法に基づくと、同社のCO₂排出は、自社の工場から生じる直接排出「Scope1」と自社が購入した電気の使用に伴う間接排出「Scope2」、仕入れから納入後まで事業全体の間接排出「Scope3」に分かれる。
自社で完結するScope1、2は算定できていて、残るScope3の算定を進めている。
算定作業が終われば、各支店や工場で適宜数値を更新することで月単位、年単位でCO₂の排出量を管理できる。事業所ごとの数値も把握可能だ。これを基に削減可能な活動を整理し、社内外での情報共有に役立てる。
コンクリート2次製品の低炭素化では、セメントの使用量を減らすため混和材に火力発電所副産物のフライアッシュを活用。2005年から北海道電力の発電所建設に用いる生コンや高流動埋め戻し材でフライアッシュの使用実績があり、そのノウハウを2次製品に応用。従来製品に比べCO₂排出量を10―20%削減している。
売れ行きは好調で、4月の発売から9月末までに260件以上を納入。北海道インフラゼロカーボン試行工事での使用実績もある。納入した製品全体でフライアッシュ使用量は約280㌧に上り、CO₂約210㌧の削減に貢献している。
さらなる削減に向け、10―20%のフライアッシュの使用量を50%まで引き上げた製品や高炉セメントとフライアッシュを組み合わせた製品を開発中。どちらも45―50%のCO₂削減効果が期待でき、必要強度の確認を終え、生産体制を検証中だ。安定した生産が可能となれば、販売準備を進める。
このほか、工場で発生するスラッジ水にCO₂を混入し、練り混ぜ水として使うコンクリート製品も研究中。スラッジ水の再利用や、CO₂混入による環境負荷軽減を図る。強度増進によるセメント使用量の削減にも寄与する。
山下弘純副社長は「カーボンニュートラルの取り組みは、社内全体の意識統一を図って地道にしっかり進めたい。今後も低炭素製品の開発強化などでCO₂削減を目指す」と話す。