プラごみリサイクル施設新設に向け検討
登別市は、改築と改修の両面で検討を進めてきたクリンクルセンターの施設更新について、改修とする方針を固めた。焼却炉の延命が可能で、2039年までのライフサイクルコストが改築より10億―20億円安いことなどが理由。焼却炉本体内部の耐火物を全面的に張り替える計画だ。併せて、プラスチックごみのリサイクル施設新設に向けた検討にも入った。
クリンクルセンターは2000年、市の一般廃棄物中間処理施設として太平洋に面する幸町2丁目5の1に完成。白老町と共同処理している。
現施設はSRC一部S造、地下2地上5階、延べ7662m²の規模。焼却処理施設と、不燃ごみ、粗大ごみ、瓶・缶を対象とするリサイクルプラザで構成している。焼却処理施設は全連続燃焼式流動床炉2基を備え、処理能力は日量123㌧。
稼働から20年が経過し、21年度に更新等検討業務をドーコンに発注。23―39年のライフサイクルコストを改修で153億4000万円、新設で164億2000万―174億2000万円と試算した。
検討業務の中でプラントメーカーである日鉄エンジニアリングが精密機能診断し、改修すれば40年間稼働できると判断。今後、人口やごみの量が減り、将来的な広域化を見据える必要がある中で、すぐに結論を出さず、施設を継続して使う方針を固めた。
改修では焼却炉本体の耐火物張り替えを中心に手を入れる。焼却炉は高温熱でごみを処理する溶融炉タイプ。高炉のような耐火れんがの積み上げ方式ではなく、セメント状の耐火物を型枠に流し込んで施工する。
このほか、受電設備や中央操作室の制御盤、建屋の劣化箇所補修などを計画する。
毎年発注している中間改修の中で段階的に進める考えだ。炉は24時間稼働のため、ピット内のごみをバケットで常に攪拌(かくはん)している状況。改修に合わせ、この作業の自動化を求める要望も出ている。
13日に開かれる市環境保全審議会に改修案を諮問する予定。年明けの住民説明会やパブリックコメントを経て、年度内に審議会が市に答申し、正式決定する。
これまで焼却処理していたプラスチックごみのリサイクルに向けて、リサイクル施設新設の検討にも入った。建設地は未定。白老町が廃止したバイオマス燃料化施設を転用することも想定する。中間処理施設としてプレスやラッピングなどの機能を持たせる。