公共インフラ整備方針について4定市議会で市長が答弁
中西俊司留萌市長は12日、第4回定例市議会の一般質問で、今後の公共インフラについて整備方針を示した。老朽化している市庁舎や社会教育施設は、それぞれの機能を集約し複合化することを念頭に置き、今後5年以内に整備着手するとした。留萌港での小麦集出荷施設整備はサイロの新設を検討しているとした。
村山ゆかり氏(萌芽クラブ)の質問に中西市長が答弁した。
留萌駅跡に庁舎機能備えた複合施設
市では、築後60年が経過した本庁舎、老朽化が進む文化センターや中央公民館、スポーツセンターといった社会教育施設の対応が急務となっている。
整備に関する議論を進めるため、2020年度に市民や学識者を交えた公共施設整備検討会議を発足。21年度までに全10回の会合を重ねた。ことし3月、中西市長に提出した提言書では、JR留萌線の廃止を見据え、駅跡地に庁舎機能を備えた複合施設を整備する案を盛り込んだ。
留萌線を巡っては、8月に開いたJR北海道と留萌市など沿線4自治体の会合で双方が廃止に合意。石狩沼田―留萌間は23年4月1日、深川―石狩沼田間は26年3月末に役目を終える。
こうした経過を踏まえ、11月27日に市内で開催したまちづくり懇談会で中西市長は、留萌駅跡地に複合施設を整備するのが妥当との考えを示していた。
村山氏は、市庁舎や社会教育施設をどのように整備するか質問した。中西市長は「個別の建て替えではなく複合施設への集約を念頭に置き、国の財源支援制度の時限措置も考慮しつつ今後5年以内に整備着手したい」と答えていた。
複合施設に取り込まれなかった社会教育施設は、大規模改修があるのかと再質問した。中西市長は「そうしたことも含め基本構想で整理したい」とし、大規模改修も視野に入れているとの考えを示した。
留萌港でサイロ新設検討
一方、新設を見据えている小麦集出荷施設の概要についても質問があった。
海野聡地域振興部長が、1基当たりの容量が500―600㌧のサイロを留萌港南岸地区に6基ほど新設するとともに、船積み機能なども設ける計画だと回答。事業化時期や事業費は精査中だが、財源は農林水産省の補助事業の活用を視野に入れているとした。
市の小麦倉庫は、同じく留萌港南岸地区の明元町2丁目14の2にある。RC造、4階、延べ3246m²の建物。1966年に建設し、91年から小麦を取り扱っている。
現倉庫は留萌、上川、北空知地区の小麦を低料金に抑えて効率的に陸送する上で、施設の老朽化をはじめ、いくつかの課題がある。
施設の収容量が少なく、3地区の生産規模約6万㌧に対し、約1万5000㌧ほどしか扱えないのが現状。新設サイロと現倉庫を修繕して使うと年間で最大約5万1000㌧の集出荷ができる。
また、受け入れの際、倉庫に運ばれてきた小麦は1㌧詰めのパックに入っていて、計量のために中身を全て出し、詰め直すといった二度手間の方法を取っている。船積み時は、パックをフォークリフトで運ぶなど非効率な作業環境となっている。
しかし、働き方改革による長距離トラック輸送の時間規制、太平洋側に集中している小麦施設の災害リスク回避など、社会情勢の変化もあり、市は留萌港を農産物の物流拠点にできないか検討している。