苫前、小平町代替路線として期待高まる
道道苫前小平線の全線開通に向け、未開通区間だった山間部の事業化を要望する地元自治体の声が熱を帯びている。頻発する自然災害を受け、地域の孤立化を防ぐためにも代替路線としての期待が高まる。19日には研究会が設立され、地域にもたらす防災・減災効果や経済振興の可能性などを整理し、一層の機運醸成を図った。
同路線の全体延長は約26kmで、苫前町古丹別地区と小平町寧楽地区を結ぶ。1984年3月に路線認定を受けたが、計画路線上の山間部約9kmの整備に費やす事業費が膨大なため、40年近く事業が硬直している。
一方、留萌開建は日本海側からの暴風雪による越波対策として国道232号小平防災、過去の土砂災害を契機とした国道239号霧立防災を進めている。ただ万が一、災害などで両路線が不通となった場合、内陸に位置する苫前小平線は代替路線になり得るとして重要視されている。
こうした機運の高まりを一層促進しようと19日に未開通区間の事業化に向けた研究会が発足し、設立総会が小平町文化交流センターで開かれた。
事業化の意義について、それぞれ発起人が見解を示した。関次雄小平町長は「人流や医療体制を整える上でも大事な路線」と強調。福士敦朗苫前町長は「未開通区間の山を切り開き、命をつなぐ道路にしたい。232号と239号がふさがると苫前町と小平町は陸の孤島となってしまう」と述べた。
続いて浅野貴博道議会議員が「未開通部分には300m級の山地がある。トンネル掘削などが必須となるが、高額な事業費となることが想定され、これが事業化できない大きな理由」と現状を解説。その上で「費用を上回る便益となれば事業化は可能。そのためには事業の必要性を地元から積み上げなければいけない」と強く訴えた。
今後に向けた整理事項には、住民生活の利便性向上、防災面の効果、232号が通行止めとなったときに孤立集落がどれくらい解消されるかなどを挙げた。