法務省は23日、不動産登記用地図データの公開を始めた。G空間情報センターを通じ、加工や変換可能なデータ形式で利用者に無償提供する。データを入手しやすくすることで、民間サービスの創出、まちづくりや災害対応など、さまざまな分野への活用を期待している。
公開したのは、土地ごとの位置や区画を示す登記所(法務局)備付地図、約730万枚をデータ化したもの。古い地図をデータ化したものが含まれるが、全体の6割は世界測地系に基づいた精度の高い地図が占める。
これらはG空間情報センターのインターネットサイトから、地図XML形式でダウンロードできる。全国で約2100のデータセットがあり、うち北海道は191データを掲載している。
内容は2022年1―2月時点のもので、年1回程度のデータ更新を進めていく。
G空間情報センターでは今後、データの視覚化に役立つ地理情報システムやウェブで利用しやすい形式のデータを提供する方針だ。
登記所備付地図はこれまで、入手が図面の写しやPDFに限られ、民間事業者などから、ソフトウエアやウェブサービスに活用できる加工可能な地図データの公開を求める声が寄せられていた。
今後はデータ入手のハードルが大きく下がり、他情報を連携させた新サービス創出など利活用が進むものとみられる。
農業では位置や区画情報を活用することでトラクターの自動走行やドローンによる農薬散布などIT農業推進の後押しになりそう。被災して境界が曖昧になった土地の復元など災害対応にも応用できる。