深夜に道路から重機のごう音が聞こえてくると、こんな遅い時間に除雪を頑張ってくれているんだと感謝の気持ちが湧く。外は暗く、一日のうちで寒さが最も厳しい時間。楽な仕事ではない。住民の大きな期待に応え、安全に細心の注意を払うことが求められる
▼除雪作業に携わる人がいてくれるおかげで、雪国に暮らすわれわれはいつも通りの生活を送れるのだ。今季の積雪の状況を見るとその思いを一層強くする。17日現在の積雪深は札幌こそ平年並みなものの、石狩市厚田で平年比162%、小樽で111%、美唄で143%、岩見沢で129%など大雪に見舞われている地域が多い。除雪従事者は毎日が大車輪だろう。気も体も休まる時があるまい
▼ただ、もう一踏ん張りである。今季は雪解けがかなり早いようだ。札幌管区気象台が16日発表した1カ月予報によると、18日から3月17日までは気温が高い確率50%で、特に25日からの2週目が暖かい。今季悩まされた日本海側の降雪も少ない見込みという。「雨降って春の雫となりにけり」稲葉南海子。きのうは二十四節気の春の二番目「雨水」だった。厳冬の色濃い例年は肌感覚と相当ずれのある節気だが、ことしは妙にしっくりきた。この週末が春のような暖かさだったからだろう
▼今季は日本列島を何度も大寒波が襲い、交通網だけでなく、燃料費高騰と相まって財布もひどく痛め付けられた。いつまで続くかと戦々恐々だったが何とか先が見えてきたようだ。「除雪車の夜通しうなる北の街」髙山典子。それも今は春を連れてくる音に聞こえる。