人の精神的な成長を研究する発達心理学のテーマの一つに、「試し行動」がある。聞けば思い当たる人も多いに違いない。主に子どもに見られるもので、わざと周囲を困らせたり、いたずらをしたりして親の反応を確認する行為である
▼物を投げて壊し、所構わず暴れ、泣きわめく。子どもが悪いことをすると、親はそれに反応せざるをえなくなる。つまりは無理やり自分に関心を向けさせ、愛情を計っているわけだ。親と十分な信頼関係が築けていないと感じている子どもに、そんな問題行動が生じる場合が多いらしい。とにかく構ってもらいたくて必死なのである。そんな子どもと同じ「試し行動」を繰り返しているのが北朝鮮でないか
▼迷惑な話だが、米国の関心を引こうと派手な火遊びが止まらない。18日にICBM(大陸間弾道ミサイル)級の1発を発射。本道松前町渡島大島の西約200㌔のEEZ(排他的経済水域)内に着弾させた。函館市からもミサイルのせん光が見えたというから穏やかでない。きのうも短距離弾道ミサイル2発を発射し、EEZ外に落とす示威行動に出ていた。おまけに金正恩総書記の妹、金与正氏が同日、米国の行動いかんでは太平洋を射撃場にする頻度が上がると警告。米国を直接「口撃」した
▼国際社会の関心は今、ロシアのウクライナ侵略に集中し、バイデン米大統領も北朝鮮への興味は薄い。米国と対等と見せかけることでしか、存在意義を示せない金体制である。よほど構ってほしかったのだろう。子どもではないのだ。「試し行動」からは卒業した方がいい。