先週土曜日の夜は肝を冷やした道民も多かったのでないか。午後10時27分ごろに発生した釧路沖を震源とする地震のことである。根室と標津で最大震度5弱を観測。釧路や中標津で震度4、北見や幕別で3だったという
▼札幌は体感で1を少し超えるくらい。ほっとしたものの、地震速報で釧路沖が震源と知り驚いた。遠い札幌でこれなら、震源に近い釧路や根室ではいったいどれだけ揺れたのかと心配になったのだ。地震に慣れた土地柄とはいえ、それで怖さが薄れるわけではない。筆者も釧路に勤務していたころ、釧路沖(1993年)と東方沖(94年)で二度、震度6を経験したが、震度3や4とは桁違いの衝撃だった。今回も震度5だった地域の方々は、揺れの大きさに不安をかき立てられたに違いない
▼折しも道が今月13日、日本海溝・千島海溝海溝型地震減災計画を策定したばかりのタイミングだった。海溝沿いの巨大地震で最大14万人以上の死者が出るとの被害想定があるだけに、気は緩められない。幸い今回は、沈み込んだ陸側のプレートが跳ね上がって爆発的にエネルギーを解放する海溝型ではなかったそうだ。海側のプレート内の断層運動が原因だという。93年の釧路沖と翌年の東方沖と同じである
▼トルコ南部で最近起きた地震では建物の下敷きになった人が多かった。インフラや建物の耐震化が進む日本ではまず見られない事態だが、では津波への備えも万全かというとそうではあるまい。条件によってはトルコ以上の被害が出る想定もあるのだ。楽観を排し減災の取り組みを急ぎたい。