生産性向上へ人材確保課題
札幌市建設局は、市内の建設と建設関連企業を対象にした生産性向上などに関するアンケートの結果をまとめた。ICT施工の経験がある建設企業は2割にとどまっている。生産性向上について、すぐに取り組めない理由は「対応できる人材がいない」が最多だった。
15日に開いた、さっぽろ建設産業活性化推進協議会で示した。
市内の建設企業883社と建設関連企業269社を対象に、2022年10月14日から11月11日にかけて調査。ウェブとFAXで建設企業242社、建設関連企業61社から回答を得た。
建設企業の結果を見ると、ICT施工経験の有無は「経験あり」が21.9%、「経験なし」が78.1%。経験ありの企業はICT建機での施工が17.3%で最も多く、3次元起工測量が13.2%で続く。
生産性向上に今後必要な取り組みでは、社員の能力向上(育成)が最多。提出書類の簡素化や工事の施工協議円滑化などを挙げる回答も多かった。現況は、既に取り組んでいるが49.1%、具体的に検討しているが22.3%の一方、取り組みたいがすぐには取り組めないが19.4%だった。
建設関連企業では、既に取り組んでいるが8割を超えている。
建設企業の取り組めない理由は「対応できる人材がいない」のほか、「取り組み方が分からない」「資金的に困難」などだった。
担い手確保・育成で、人材募集結果に関し「確保できたが足りていない」は建設企業で52.7%、建設関連企業で70.4%に上った。
人材確保に向けた札幌市や協議会に求める取り組みは、業界全体のPRを筆頭に専門業種の業務内容紹介などが挙がっている。
施工時期平準化については、早期発注や余裕期間制度によって「施工時期が平準化した」が10.7%、「改善が進んでいる」が49.2%で、合わせると6割に達し、市は一定の効果が出ていると分析。一方で「平準化につながっていない」との回答が4割あり、さらなる改善も必要とみている。