建設業の経営破綻増加 3月道内は10年ぶり倒産2桁

2023年04月08日 08時00分

資材高騰や住宅着工減で急激に厳しく

 建設業の経営破綻が増えてきた。帝国データバンク札幌支店によると2023年3月の道内建設業の倒産は10件で、13年4月以来ほぼ10年ぶりに2桁に乗った。前月から8件増え、前年同月と比べても7件多い。コロナ禍対策の緊急融資が終わったところに資材の値上がり、住宅着工の減少などが重なって、建築主体の企業を中心に経営が急激に厳しくなっている。

 建設業は最近まで、倒産の少ない状況が続いていた。コロナ禍の影響が小さい19年度は33件だったが、その後、実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」効果や堅調な公共投資、在宅ワーク拡大で住宅需要が刺激されたことなどから20年度は23件に縮小。21年度はさらに減って16件になった。しかし、22年度は一気にコロナ前と同じ33件に戻った。

 四半期ごとに見ると、最近になって増勢に転じたことが明らかになる。20年1―3月以降は12四半期にわたって8件以下で推移し、うち2つの期は最少の3件だった。22年10―12月は7件。ところがことし1―3月は16件に急伸した。ゼロゼロ融資は9月末で新規受け付けを終了している。多くの企業で元本返済が始まったのも無関係ではなさそうだ。

 目立つのが住宅業界の苦境だ。直近半年で最も負債額が大きかったのは札幌の中堅ハウスメーカー、リーベンホームの自己破産。設立から20年以上が過ぎ、石狩、江別など近郊にも展開して21年2月期には年間売上高23億円に達したが、コロナ禍でのウッドショックや住宅資材の価格高騰などで採算が悪化していた。そこに住宅着工減少など市場の縮小が追い打ちをかけ、2月22日に札幌地裁に自己破産を申請した。

 リフォーム業界も振るわない。創業30年目となる札幌の太田建匠は、コロナ禍で業績が悪化する中、緊急融資で事業を続けてきたが、春を前に再建を断念。自己破産を決め3月20日付で弁護士に事後処理を一任した。

 負債総額の面でもコロナ前に戻ったと言えそうだ。19年度の総額は38億円で、コロナの20、21年度は24億円、8億円と減り続けたが、22年度は30億円に増加した。同社札幌支店情報部の担当者は「製材業なども含めて今は建築関連の経営環境が厳しい。倒産は増加傾向が続く可能性がある」と指摘している。


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