小銭入れがずっしりと重くなったとき、便利なのがスーパーなどのセミセルフレジである。いちいち小銭を数えることなく、中身をそのまま投入口に注ぐ。あとは表示された不足分を紙幣で払えばいい。うまくいけば小銭入れは軽くなり、すっきりした気持ちになる
▼係の店員が受け払いをしてくれるレジだと大量の小銭を出しにくいし、一枚一枚数えて出すのも後ろで待つ他の客に迷惑がかかると気になってしまう。ただ、当初は推奨されていたそんな使い方も、近頃はできなくなってきた。枚数制限をするようになったのである。小銭の食べ過ぎで腹を壊すレジが多かったに違いない。皆考えることは同じ。必要だがたまると厄介なのが小銭である
▼電子マネーの利用者が増えるのも自然の成り行きだろう。世の流れは財務省が先日発表した貨幣製造計画にも映し出されていた。2023年度の10円玉製造枚数は3300万枚で、近年最も少なかった22年度当初の1億200万枚を大幅に下回っているのである。最も多かった1974年には、17億8000万枚(実績)が発行されていたのだとか。まさに隔世の感がある。本年度の製造は硬貨全てを合わせても5億8600万枚。消費税導入で1円玉が増えた準ピークの90年に比べると、ほぼ10分の1にまで減っている
▼実際、ここ5年の変化は著しい。キャッシュレス決済が、それだけ急速に浸透してきたというわけだ。まあ、あえて流れに逆らうこともあるまい。自動販売機で缶コーヒーを買おうとして、10円が足りずに悔しい思いをするときもあるが。