札幌市経済観光局は大型複合流通施設の誘致を視野に入れ、大谷地流通業務団地の機能強化検討調査に取り組む。団地内にあるアクセスサッポロで、後継施設完成後の跡地活用を検討するために解体費を試算。団地の機能強化に向けて土地建物や立地企業の基礎データを調べる。2024年度以降に具体的な機能強化策を検討し、数年以内に方向性を決める考えだ。
1967年に造成した大谷地流通業務団地には運輸業や卸業などの約200社が立地。築40―50年の施設が多く、企業から老朽化や機能複合化の遅れ、用地不足などを懸念する声が上がっている。大型化や複合化に対応するため、市は2019年に都市計画を変更して立地可能な流通施設の種類や位置を緩和した。
23年度は機能強化に向けた基礎調査に取り組む。アクセスサッポロの後継施設は、旧道立産業共進会場(月寒グリーンドーム)の敷地内に26年度の供用開始を目指して新設する予定。機能移転後の市有地2万5132m²では、大型複合施設の誘致を視野に解体費を試算する。樹木移植の可能性も確かめる。
隣接地では22年5月、大和ハウス工業とJR貨物が道内最大のマルチテナント型物流施設「DPL札幌レールゲート」を共同で完成させた。規模はRC一部S造、3階、延べ8万6276m²に上る。
団地の現況把握のため、施設築年数や分譲地利用状況、立地企業の従業員数や売上高といった基礎データを集める。全ての立地企業にアンケートを依頼し、建て替え・増築の意向や事業課題、必要用地の規模などを調べるほか、うち30社にヒアリングを実施。市の都市計画関連データを活用する。
また、市内や全国の流通データを収集分析し、流通業の課題や今後の動向全般をまとめる。時間外労働の罰則付き上限規制が物流業に適用される「2024年問題」や、貨物輸送のモーダルシフトなどを把握して今後の検討に生かす。
4月26日に検討業務を一般競争公告した。参加申請書を9日まで、入札書を15日まで持参か郵送(必着)で受け付けて即日開札する。市の情報サービス、研究・調査企画サービス業に登録していることなどを求める。