つい先日の話である。郵便局のゆうパックで荷物を送った次の日、スマホのショートメールにこんな連絡が来た。「荷物は倉庫に到着しましたが、住所の詳細が不完全なため配送できません」。見ると早急に確認してほしいと、WebサイトのURLも記されている。発信者を見ると「日本郵便輸送」だ
▼〝しまった、教えられた住所に不備があったのかも〟と、サイトにアクセスしようとしたところで手が止まった。怪しいと気が付いたのである。よく考えると文面は一見丁寧なようだが内容が薄い。そこで日本郵便の正式サイトを開いてみると、メールに記されていた「.com」で終わるURLは使用していないとのこと。不審メールに注意を促していた。やはり詐欺だったらしい
▼最近、宅配業者や金融機関などになりすまし、偽サイトに誘導して個人情報を抜き取る「フィッシング詐欺」が増えているという。ショートメールを使う手口が多いようだ。まんまとだまされるところだった。危ない、危ない。警察庁によると「ネット銀行」を装った詐欺だけで、ことし2月に111件、3月に381件の被害が出ている。4月も14日までで120件に達し、去年4月の1カ月分22件を大きく上回っている。全体ではどれほどの数になるのか
▼自分は引っ掛からないと思っている人がほとんどだろう。当方もそうだった。ただ今回のように絶妙の頃合いで来ると判断力も鈍る。敵は「数打ちゃ当たる」の楽な仕事だ。世知辛い世の中だがメールなどはまず疑ってかかるのが昨今必要な作法なのかもしれない。