老朽化や未耐震、狭さ課題
十勝管内の5町村で消防庁舎の整備構想が動いている。築40年以上が経過した施設は老朽化が進む一方、近年は消防車両の大型化が進む。広域化による職員数の増加もあり、施設内や車庫が手狭となったことも要因だ。建物だけでなく、機械などの設備が更新時期を超えている施設もある。今後の整備動向をまとめた。
十勝管内19市町村にある消防庁舎で築40年を超えるのは7カ所。うち2カ所が未耐震の状況だ。2016年度からは各地の消防組合が「とかち広域消防局」に統合し、各消防庁舎に配属される職員数が増加。詰め所などの狭あい化が進んだ。
広域化を見据え、西十勝消防組合(当時)は15年に清水消防庁舎を移転新築。その後は20年に中札内消防署が増築と改修、上士幌町が21年に改築し、施設が抱える課題を解消した。本年度は足寄町で外壁改修と高圧ケーブルの更新に取り組む。
一方、1970年代に建設した本別、浦幌、豊頃の3町の消防庁舎は、老朽化と未耐震に対応するため大型の整備を検討している。
本別町の消防庁舎は町役場に併設。72年に完成し、22人の職員が働く。老朽化や狭あい化に加え、利別川に近いため浸水のリスクも抱えている。移転先は複数の候補地から検討していて、大雨などで浸水しない高台を想定する。町は特別養護老人ホームの建て替えを優先するため、着工時期は未定とする。
浦幌町は22年度に耐震診断を実施し、事務所と車庫の両棟で強度不足が判明した。整備手法は耐震改修か移転改築を検討中。財源や必要となる規模を庁内で議論して決定する。
豊頃町の消防庁舎は1973年の建設で50年の耐用年数を本年度に迎える。未耐震のため、耐震診断に取り組んでいる。結果を受けて整備手法を決める方針だ。
芽室町や更別村など耐震改修を終えた庁舎でも、老朽化した設備への投資を計画している。
芽室町の消防庁舎は、11年度に耐震改修を終えた。築42年となった施設は水回りや壁の劣化が進み、電気と機械設備の多くは更新時期を過ぎている。改修によって対応する計画で、策定を進める基本構想での調査結果を基に劣化状況を把握し、施工箇所と優先順位を固める。
更別消防署は05年に耐震改修済みだが、機械と電気設備の老朽化が著しい。時期は未定だが、今後の改修を検討している。
いつどこで起こるか分からない火災や地震などの災害。消防庁舎が地域の防災拠点として果たす役割は大きい。耐震化はもちろん、いざという時に職員や車両の能力を最大に発揮できる施設づくりが急がれる。