事業の後継者探し支援 ライトライトの齋藤社長に聞く

2023年06月19日 08時00分

北海道は移住希望の多さが強み

 事業の後継者探しを支援するライトライト(本社・宮崎)は、道内展開を本格化した。4月に芽室町と道内自治体で初となる連携協定を締結。同社が開発・運営する事業承継マッチングプラットフォーム「relay(リレイ)」を活用し、後継者不在に悩む事業者と継承希望者をつなぐ。齋藤隆太社長に事業承継の現状や道内の強みを聞いた。(帯広支社・城和泉記者)

齋藤隆太社長※写真は同社提供

 ―宮崎県から道内展開にかける思いは。

 設立当初から、いつかは北海道の自治体と事業をやりたいと考えていた。こんなに早く実現するとは思わなかった。基本的にオンラインを用いて全国展開中だ。ただし、デジタルが苦手な高齢の経営者は例外で、訪問することもある。北海道にはなかなか行く機会がないが、芽室町との打ち合わせはスムーズに進んでいる。全国の自治体との事業展開が目標だ。

 ―廃業の背景をどう見る。

 もったいないことに、黒字でも6割の企業が廃業する。事業を引き継ぐ親族がいないからだ。相談者の半分以上が65歳以上。第三者を後継者にする発想自体がなく、「考えたこともない」と話す人も多い。サービスを通じて事業者と後継者をつなげ、望まない廃業を減らしたい。

 ―サービスの実績は。

 2020年のサービス開始から5月末で280件を公開。42件が継承に至った。25年度に年間500件のマッチング成功が目標だ。多くの案件は、相談から1カ月以内に掲載する。全国にいる約100人のライターとカメラマンに業務委託していて、最近では1カ月に10―30件を追加している。

 ―北海道の強みは。

 道内では28件中4件がマッチングした。移住希望者の存在が大きく、「ここに行きたい」という転職活動の延長線上で検索している。北海道に住みたい人にも響く募集記事になるよう工夫したい。

 幅広い業種を都道府県別で検索できる。全国的にどんな業界でも経営者が高齢化していることの表れ。建設関連では、ログハウス専門会社が募集から2年越しでマッチングしている。

 ―事業承継を支援したい自治体は多い。

 さらに道内自治体との連携を増やしたい。地元業者が「relay」で後継者募集に踏み切るかは、自治体の信頼度も影響する。事業費を予算化した上で、現地の商工会や金融機関を上手に巻き込むのが理想。また、地域おこし協力隊のマッチング支援も有効だ。

 ―事業承継で大切なことは。

 今の良いところを残しつつ、時代に合わせて事業形態を変える意識が必要。例えば、インターネット販売など事業のIT化込みで話し合う。

 継承者はこれまでの事業への敬意を持ち続けることが大切だ。事業を継承したら、そのまちで生きていくのだから。

 齋藤隆太(さいとう・りゅうた)1984年10月生まれ、宮崎市出身。法政大人間環境学部卒業後、2007年USEN、サーチフィールドの創業参画などを経て、20年にライトライトを設立した。

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