都心東西アクセス道路も
札幌環状型高速交通体系整備を考える会(代表・渡邊克仁北都交通社長)は20日、札幌市内の南西部をカバーし、市街地外周を巡る高速自動車道整備構想をまとめた。札樽自動車道札幌西インターチェンジ(IC)西側にジャンクション(JCT)を新設し、宮の森、藻岩、真駒内、福住の4カ所にICを設け、道央自動車道大谷地ICに接続する延長25㌔を新設。将来的には国道5号創成川通に延びる都心アクセス道路と交差する都心東西アクセス道路も想定。早期実現に向けて、27日に札幌市議会で自民党札幌市支部連合会に要望する。
同会は2022年に発足。渡邊代表、斉藤博之北海道物流開発代表取締役、砂田英俊北土建設代表取締役、栗田悟北海道建設業協会副会長がメンバー。これまで検討を進めてきた構想がまとまり実現を目指すことにした。
札幌市内の現状の高速交通体系を見回すと、札樽道と道央道のみが市内を東西に横断している。市街中心部から物流を高速に乗せるまで時間を要し、生活面でも都心の南側や、その先の定山渓などに向かう場合に不便な状況だ。特に冬は旅行速度が遅くなることが指摘されている。
これらを解消する幹線道路網の整備が求められ、同会では既存ICなどに接続する形で、環状の高速道路網を形成する構想を立案。国内では同規模の都市となる仙台、広島、福岡では既に高速交通環状交通網が整えられ、札幌だけが遅れている状況にあるとしている。 構想によると、札幌西IC西側の分岐点から北1条・宮の沢通、環状通、福住・桑園通を南下する形でルートを設定。この間に仮称宮の森IC、仮称藻岩ICを新設する。豊平川を横断した後は、五輪通、福住・桑園通、向ケ丘通上にルートを描き、大谷地ICに接続する。この間に仮称真駒内IC、仮称福住ICを新設する。
片側2車線の高架道路をイメージ。幅員は20mで、沿道のマンションや戸建て住宅の移転が必要となる個所が出てくるとしている。
さらに将来的な構想として、宮の森IC―藻岩IC間にJCTを新設し、都心アクセス道路と連絡して札幌JCTに接続する仮称都心東西アクセス道路も視野に入れる。
完成後の道路は、カーボンニュートラルを前提とし、水素・電気自動車の限定道路、自動運転などを採り入れることを提言する。完成までに時間がかかることを想定し、ルート上の現道に自律・分散型AI信号制御による「軽やかな交通管制システム」を導入して渋滞緩和につなげる考え。同システムは現在、静岡県で実証実験中だ。
27日は午前10時半から札幌市議会会議室で自民党札幌市支部連合会の三上洋右市議と渡邊代表が要望書を手交し、栗田氏が整備内容について講演する予定だ。
渡邊代表は、環状型交通体系を提案する理由について「現況を見ると高速道路沿線は利便性が高まっているが、高速道路から離れている南西部はその恩恵を享受できていない。交通渋滞も発生している中、時間的な負担をはじめ、商業活動に対する生産性向上を図り、交通を円滑化することでカーボンニュートラルにも貢献できると思う。札幌の都市機能を拡充をすることが、本道全体に良い影響を与えると考えている」と話している。