ラピダス契機に関連産業の集積期待 道が取り組み強化へ
道経済部がまとめた2022年度企業立地件数は98件だった。新型コロナウイルス感染症の経済停滞による落ち込みから回復し、前年度を11件上回った。製造業や産業支援サービス業などが立地数を伸ばしている。2月に進出を表明したラピダス(本社・東京)の次世代半導体製造拠点は道内過去最大規模の投資となるため、この立地を契機に関連産業の集積が期待される。
20日に北海道企業誘致推進会議が開いた総会で、道経済部の担当者が説明した。
企業立地の傾向として、15―18年度は100件程度で推移していたが、コロナ禍の影響で20年度は62件にまで減少。その後は21年度が87件、22年度が98件と持ち直した。カーボンニュートラル実現に向けたデータセンター立地や新しい働き方に伴う本社機能移転など、企業立地の背景が多様化していると分析した。
主な立地企業を業種別で見ると、12件を占める加工組立型工業はラピダスのほか、パロマ(本社・愛知)が登別市の北海道工場増設を表明。生産拠点の国内回帰やガス給湯器の国内外での需要拡大などに対応する。
産業支援サービス業では、新しい働き方の実現に向けてマルゴト(本社・東京)が札幌に本社を移転した。IT企業の本社機能移転やサテライトオフィス設置なども増加。石狩市に本社を置く合同会社石狩再エネデータセンター第1号が立地するなど、再エネ型データセンターが追随して進出し、21年度の24件から39件に大きく伸ばした。
食品工業の立地件数は18件。マルハニチロ夕張工場跡地にDADACA(本社・東京)が道産チョコレート工場を新築、ベンチャーグレイン(同・埼玉)は苫小牧市にウイスキー蒸留所を新設するなど、良質な水資源や食の北海道ブランドに着目した立地があった。
宇宙関連機器の設計・製造拠点や風力、バイオマス発電所の立地も相次いだ。
総会では企業立地の動向を確認するとともに、23年度事業計画を決めた。
事業方針として、新規でラピダスの進出を踏まえた取り組みを盛り込んでいる。製造・研究・人材育成が一体となった複合拠点の実現を目指し、半導体関連産業の集積や道内企業の取引参入、デジタル人材拠点の形成を推進する。
さらに、北海道データセンターパークの実現に向け、デジタル関連産業集積の推進方向を取りまとめ、一大拠点づくりを掲げている。
成長を見込む分野の企業誘致に当たっては、本道の気候を生かした環境配慮型のデータセンターや工場の誘致、再エネの高いポテンシャルを生かした風力発電など新エネルギー供給業誘致に関する取り組みを強化する。