ラピダス関連物資 鉄道での輸送は青函トンネルが課題に

2023年06月29日 08時00分

危険物通過規制など

道内を走る貨物列車(JR貨物提供)

 物流の「2024年問題」や脱炭素化の流れを受け、半導体産業でも物資の輸送をトラックから鉄道貨物に切り替える動きが出ている。ラピダス(本社・東京)が次世代半導体工場を新設する北海道では、道内と本州を結ぶ唯一の鉄路「青函トンネル」が課題となりそうだ。(経済産業部・織本 真記者)

 半導体製造に欠かせない特殊ガスや薬品の供給を手掛けるジャパンマテリアル(本社・三重)は6月、運送業の日本トランスシティ(同)、JR貨物と共同で、半導体材料の鉄道輸送を試験的に開始した。試験区間は四日市駅から取引先のある岩手県水沢駅まで約900㌔。鉄道輸送による振動や温度の変化で品質に影響がないかなどを調べる。実証試験で問題がなければ、年度内にも輸送をトラックから鉄道に切り替える方針だ。

 同社は、ラピダスに出資するソニーグループ、キオクシアと取引があり、道内への進出も「検討している」(同社担当者)。

 しかし、物流面で課題となるのが「青函トンネル」だ。JR貨物の約款で、引火性の液体や毒物類といった危険物の通過が厳しく規制されている。

 同社の担当者は「半導体製造ガスや薬品は危険物に該当し、通過は難しい。青森で貨物を降ろし、その後海路と陸路を組み合わせて輸送しなければならず、コスト面などで厳しい」と話す。

 TSMC(台湾積体電路製造)の立地に伴い、熊本に拠点を開設した化学品総合物流のNRS(本社・東京)の担当者も、道内への進出を検討していると明かしたが、「青函トンネル」を最大の課題に挙げた。

 いち早く対応した企業もある。物流大手の日本通運は昨年12月、北海道を発着する危険物対応の輸送サービス「Sea&Rail DG(Dangerous Goods)」を開始。輸送手段はトラック、鉄道、船舶を組み合わせ、「青函トンネル」を迂回する。

 次世代半導体工場の立地で、道内でも大量の危険物の使用が予測される中、サプライチェーンの構築に向けた各社の動きが注目される。


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