札幌環状型高速実現へ 考える会の栗田氏が構想説明

2023年07月02日 08時00分

市民生活、経済活動を効率化

 札幌環状型高速交通体系整備を考える会の栗田悟氏(北海道建設業協会副会長)は27日、札幌市役所で、札幌市街地外周を巡る高速自動車道整備構想を説明した。栗田氏は札樽自動車道と道央自動車道をつなぐ補完ルートを札幌市南西部に新設し、高速環状交通網を形成することで「市民生活、経済活動の効率化を図ることができる」と強調した。

 札樽道札幌西インターチェンジ(IC)付近から南下し宮の森、藻岩、真駒内、福住の4つのICを経て道央道大谷地ICに至る延長25㌔の新設ルートを造り環状高速を構築。過去に札幌南環状道路などの外環状道路が検討された経緯も踏まえ「札幌外苑高速」などの名称を提案した。

 高速道路が通っていない中央、南、豊平、清田の各区をカバーするルートで「南区の中心部まで高速を延ばすことが可能。数千億円の事業費が想定される。市民に理解を得ることが必須」と説明。将来的に都心東西アクセス道路も視野に入れる。

栗田悟氏

 「積雪期の交通混雑が関東・東海・近畿の三大都市圏よりもひどく、交差点で渋滞が日々発生している」と現状を説明。市街地を二重に囲む形で高速道路の整備が進む名古屋市に比べ「現在は製造業、流通業の活動に大きな負担となっている」とした。その一方、商業地や住宅地の地価が豊平区や西区で上昇を続けているとも話した。

 計画ルート現道への導入を目指す自律・分散型AI交通信号制御システムについて渡邊克仁代表(北都交通社長)が「自律型なので各信号機が情報を交換しながら判断する。消防車が通ると全ての信号が赤になる。交差する車がなければ青信号のまま直進できる。カーボンニュートラルにつながり交通渋滞も解消される。自動運転に不可欠だ」と解説した。

 資金調達については、同席した富山英範札幌開建部長が、国道上に高架を整備した福岡の都市高速道路の事例を挙げ「下は国道なので国が担当し、上は福岡市と福岡県が出資して公社を設立した。広島なども公社方式で進められた」と説明した。

 渡邊代表は「時間や燃料費の節約、交通事故発生減少など二重、三重の利点がある。バス事業者としても公共交通の定時制が図られることは大きい。災害時の安全確保も可能。場所によっては自律・分散型AI交通信号制御システムを組み合わせる形になると思う」と展望する。

 その上で「『素晴らしい提案』『早くやってほしい』と多くの声が寄せられ、思った以上に前向きな感触と受け止めている。費用に見合った効果が出せるかが鍵。今後は少子化で走る車の台数も少なくなる。20年単位のスパンで考え、計画を策定することが必要」と話した。

関連記事

交通体系整備を考える会、札幌外周高速道を構想(2023年6月20日)

このほか、北海道建設新聞2023年6月28日付14面に関連記事が掲載されています。閲覧は新聞本紙か、e-kensinプラスの記事検索コーナーをご覧ください。


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