適正な運賃確保を 標準との差額大、単価アップ目指す
札幌地区トラック協会ダンプカー部会(部会長・山下央曲長札幌開発工業社長)は13日、適正な運賃の確保や軽油価格の高止まりを踏まえた輸送単価の見直しを求め、札幌市などに陳情活動を展開する。来春に迫る罰則付きの時間外労働上限規制など「2024年問題」への対応を加速させるため、発注者や公共土木工事の元請け事業者への要望活動を本格化させて単価アップを図り、ドライバーの待遇改善などを目指す。

建設業と同様、ダンプ業界も24年問題に苦慮している
国土交通省は20年、トラック運送業が法令を順守した上での持続的な事業展開に必要な「標準的運賃」を告示。本道の場合、基礎額は10tクラスの大型車が8時間で4万8530円、1時間当たりで6066円となる。ダンプの場合はこれに2割、さらに冬季で2割の割り増しを推奨している。
山下部会長は、依然として標準的な運賃との乖離(かいり)があると指摘。冬季割り増しを含めた推奨価格約8500円に対し、昨冬の市内実績で6500―7200円程度にとどまるとしている。
業界では運転手の高齢化も進む。「燃料価格も年々高騰し、経営的にも適正価格での取引がなければ厳しい状況」(山下部会長)だ。一方、罰則付きの時間外労働の上限規制や、継続11時間を基本とする休息の確保など改正・改善基準告示の適用が24年4月に迫っている。

業界の厳しい現状を説明する山下部会長
陳情で、安定的・継続的な輸送力の確保に向けた要望書を札幌市雪対策室と札幌中小建設業協会に提出する方針。標準的な運賃に基づく適正価格での取引となるよう、発注者から荷主の元請け事業者に指導することを求める。今後の軽油価格上昇を見据え、輸送単価の見直しも盛り込んだ。
発注者にはこのほか、今冬の除排雪業務積算への反映や車両確保に向けた事業平準化を要望。元請けに対しては、繁忙期を前に標準的な運賃となるよう見直しを求め、市内で見られるばらつきの改善につなげたい考えだ。
山下部会長は「運転手は2割労働時間が長く、2割給料が安いと言われてきた。状況を打破しないと先には進めない」とし、「各社は運転手に多くの給料を払い、多く休ませ、若者が入職しやすい業界をつくらないと。そのためにも標準的な運賃での取引が必要になる」と力を込める。