環境省のモデル構築実証事業に採択
スパークスグリーンエナジー&テクノロジー(SGET、本社・東京)は、苫小牧市内で再生エネルギー水素のサプライチェーン構築を計画している。市が管理する廃棄物発電と、同社が設置予定の太陽光発電を組み合わせて生み出す電力を活用し、コストを縮減しながら年間最大100万N(ノルマル)m³の水素を製造する。市有施設などへの供給で冬場のエネルギー消費量削減につなげたい考えだ。
環境省の2023年度モデル構築実証事業の採択を受けた。事業期間は25年度まで。本道は広大な土地がある一方、蓄電池の設置要件など電力系統に制約がある。SGETはその課題に着目した。
同社によると、苫小牧は水素の需要地として有望だという。苫小牧港があるほか、新千歳空港に近いことから「将来的には二酸化炭素の回収、有効利用、貯留できる可能性がある」と分析する。
市の協力を受け、沼ノ端クリーンセンター内に水電解装置を新設する。水道から純水を製造し、装置内に供給。電力は廃棄物発電の夜間余剰電力と沼ノ端埋め立て処分場に設置を計画する太陽光発電を組み合わせる。自営線を整備して装置に送電する。24年12月の完成を目指す。
水素は貯蔵設備にためて、高圧水素トレーラーで運搬する。供給先はオートリゾート苫小牧アルテンをはじめとする市有施設や、北海道曹達(本社・苫小牧)など近隣企業。燃料電池やボイラストーブに利用し、灯油使用量の抑制につなげたい考えだ。
本事業には、SGET以外に5者が参画する。市は事業用地を提供し、北海道曹達は水素製造所の保守管理や輸送を担う。明治電機工業(本社・名古屋)は、水素出荷設備の施工や燃料電池の設計設置を担当。トヨタ自動車北海道(同・苫小牧)は、福利厚生施設に水素ストーブなどを設ける。金融業界からは三井住友信託銀が普及シナリオを分析、作成する。
SGETは本道での再エネ普及に積極的な姿勢を示す。将来的には卒FIT電源を活用し、全国的に再エネ水素を広める取り組みを検討している。