国営かん排として 500m程度を暗渠化
旭川開建は、国営かん排として、風連多寄地区(名寄市・士別市)の排水路改修と一部新設に向けて準備を進めている。既存排水路3.1kmを改修し、上流・下流側で合計2.1kmを新設する。国道とJRの横断部は暗渠化を検討する。2023年度は測量設計を進め、24年度以降の着工に備える。総事業費は50億円を試算する。
風連多寄地区は、水田と畑が入り交じる約650haの農地で、名寄市風連地区と士別市多寄地区にまたがる。水稲、バレイショ、カボチャなどを栽培している。
地区周辺の農業用排水施設は、1967―86年度に総合かん排天塩川上流地区として整備。風連多寄地区の真狩川排水路は73―77年の建設で、延長は3.9km、タヨロマ川に流れる。
近年、降雨条件や土地利用の変化による流出量の増加のため、排水能力が不足し、10、14、16年に農地に水が流れ込むなどの溢水(いっすい)被害が生じている。両市は被害のたび市単費で災害復旧した。
23年度に新規事業採択された風連多寄地区は、10年に一度の降水量を想定し、排水路の改修と一部新設で流量を増加させる。工事による受益面積は810haとなる。
改修は約3.1kmで、経年劣化に伴う既存排水路の断面改修や排水路の拡幅と両岸をブロックで覆う2面護岸を施す。
排水路の新設は、上流側で1.6km程度、下流側で500m程度を予定。下流側では国道40号とJR宗谷本線の横断部に対してバイパス水路を新設し、線路と国道の交差部は推進工法でトンネルを掘り、暗渠化する計画。一定の水位に達するとバイパスに水が流れる形状を検討している。
実施設計は5月に公告済みで、8月下旬に開札する。土地改良法に基づく手続きを終えた後、23年度中に実施設計で施工方法の詳細を詰め、着工時期を決める。
23年度は測量・設計費として1億円を措置している。全体の工期は10カ年程度を見込んでいるが、予算配分次第で前後する可能性がある。