24年度の道開発予算概算要求は事業費ベースで8459億円

2023年08月24日 15時03分

国費ベースは2年ぶり2割超増額に

 国土交通省北海道局は24日、2024年度北海道開発予算の概算要求を公表した。一般公共事業費に当たる北海道開発事業費は、国費ベースで23年度当初比20.3%増の6725億8400万円。事業費ベースでは20%増の8459億4900万円となった。重要政策推進枠の仕組みや本道の強みを生かし、2割超の要求額確保を実現。国費ベースで2割増を超えるのは、22年度概算要求以来2年ぶりとなる。要求の軸には「デジタル関連産業の集積支援」という要素を新たに加えている。

 要求の軸には「生産空間の維持・発展による食料安全保障、観光立国の一層強化」「わが国のエネルギー供給基地も担うゼロカーボン北海道などの実現」「デジタル関連産業の集積支援」「安全・安心に住み続けられる強靱な国土づくり」「ウポポイなどを通じたアイヌ文化の復興・創造および国民理解の推進」「北方領土隣接地域振興対策」の6点を設定した。

 生産空間の維持・発展では、その場所に住み続けられる環境維持などを主眼に要望を構築。本道が食料供給基地として貢献し続けるため、スマート農業に対応した農地大区画化、物流ネットワーク整備を推進する。交通ネットワーク整備による旅行者の受け入れ環境整備も併せて進める。

 ゼロカーボン北海道などの実現については、インフラゼロカーボン試行工事の継続、二酸化炭素(CO₂)吸収源としての森林整備、藻場造成、水素社会構築などに取り組む。

 デジタル関連産業の集積支援では、成長産業を交通・物流面で支える道路ネットワーク、港湾・空港の整備を推進。人材の居住環境整備といった地域の取り組み支援なども推し進める。

 強靱な国土づくりでは、気候変動に伴う災害に対応するための流域治水、インフラ老朽化対策、交通ネットワーク整備を進行。「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」の改正を踏まえ、自治体の津波避難対策支援などを推進する。

 今回の概算要求額を23年度当初予算額と比べて見ると、道路は、道路整備と道路環境整備合わせて20%増の2942億7800万円。本道の高規格道路ネットワーク整備、ミッシングリンク解消に加え、デジタル関連産業の集積支援のための道路整備という要素が加わっている。札幌駅周辺のバスターミナル整備などを促進する。

 治水は18.6%増。岩見沢市の北村遊水地整備、安平川など中小河川の防災対策、土砂災害対策などの流域治水対策を進める。胆振海岸では海岸保全施設や人工リーフなど整備を継続し、安全性を高める。直轄ダムには108億円を充て、糠平ダム再生の新規事業化を目指す。

 港湾は19.5%増。メイン事業の苫小牧港東港区浜厚真地区複合一貫輸送ターミナル整備で周文埠頭新設を進めるほか、屋根付き岸壁新設を継続して推進する。空港は18%増となり、必要予算の要求額を確保。新千歳空港での並行誘導路の複線化、デアイシングエプロン整備、滑走路と誘導路の耐震化、浸水対策などを推し進める。
 農業農村整備は19.8%増。農地の大区画化や汎用化、排水改良などで農業の省力化や低コスト化、収益性向上を促す。用水路や排水機場の更新、ため池の地震対策に継続して取り組み、防災力や農業生産力の維持向上を目指す。

 森林整備は48%増の87億1700万円。間伐や主伐後の森林整備で木材の安定供給や森林機能の充実を目指すとともに、路網整備を通じて林業の低コスト化を図る。水産基盤整備は19.8%増。屋根付き岸壁の整備をはじめとした高度衛生管理対策や、藻場・魚礁などの整備を進める。

 国交省は、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を事項要求。補正による予算化が濃厚だ。また、現下の資材価格の高騰などを踏まえた公共事業の実施に必要な経費なども事項要求とする方針は変わらない。


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